射撃実施日を告知する掲示板
「『89式小銃』は発射後自動的に弾薬の装填などが行なわれる自動小銃です。口径は5.56mmで、300~500mほど離れた標的を撃つことも可能です。
89式の実弾の初速、つまり銃口初速は秒速920m(時速約3312km)とされています。これだけの威力のあるものを至近距離で撃たれたら、とても無事ではいられません。弾はすごい威力を持ちながら身体を貫通して、内臓がめちゃくちゃになってしまう。25歳隊員は脇腹を銃撃され命を落としたということですが、上体に当たればまず助からないでしょう。現場の様子も、凄惨を極めただろうと推測されます」
候補生の男は射撃レーンに並んでいるときに発砲したとされるが、井上氏は「強い殺意があったとしか考えられない」という。
「一般的な射撃訓練では、射撃場所についてから、上官の指示のもと実弾を弾倉に入れて射撃をするんです。これは推測ですが、今回のケースは待機レーンにいるときに、候補生の男が自分で勝手に実弾を込め、安全レバーを外して、射撃に至ったのではないか。弾倉に実弾を入れるのも素人には一苦労ですが、今回は4回目の訓練だったから、候補生にもそれができたのでしょう。
1984年2月に山口の陸上自衛隊で銃の乱射事件がありましたが、訓練中に“偶然”人を撃つことはありえない。試用期間中の候補生のメンタルケアも、今後課題になっていくのではないかと思われます」(井上氏)
防衛省と警察は候補生の男の詳しい動機などについて、捜査を続けている。