「3月の実証実験で使用した自動運転モビリティは、時速19キロメートルで走行する小型の電気自動車です。一回の充電で約80キロメートルを走行できます。バスの車体には、レーザーレーダーと呼ばれる探知機とカメラ・マイク・通信装置などが取り付けられていて、自動運転のレベル2を実用化しました。運転席には運転手が乗って常時周囲を監視しますが、遠隔監視モニターによって安全確認もしています」と説明するのは、東急バス経営統括室企画部の担当者だ。
3月に実施した小型モビリティの実証実験では、初日に関係者を招待したが、翌日からは一般の乗客が利用している。実証実験中は運賃が無料だったこともあり、約6日間で450人が乗車した。東急は静岡県内でも自動運転の実証実験に取り組んでおり、着実に前進している。それでも、自動運転は実用段階には達していない。担当者も「今回の検証を踏まえて、同地域で再度実施するか、または別の地域で実施するかなどを検討していく」と慎重な姿勢を崩さない。
昨今、鉄道・バス各社は自動運転の導入を積極的に進めている。現段階の技術レベルで基幹交通を自動運転へと切り替えることは難しいだろう。しかし、東急が実証実験した小型モビリティのように、基幹バスのバス停から団地の入口までといった活用方法は考えられる。
高度経済成長期、鉄道駅から離れた場所にニュータウンが多くつくられた。それらニュータウンは2000年代に入って現役世代が引退し、オールドタウンと揶揄されるようになっている。
冒頭で触れた川崎市麻生区の長寿日本一というニュースは、オールドタウンを象徴する話でもあるが、そこの住民の足をどう確保するのか。鉄道会社やバス会社の模索と挑戦は続く。