ライフ

合併症リスクが高いSAS(睡眠時無呼吸症候群)に「舌下神経電気刺激療法」を実施

SASは眠気による事故のリスクに加え、合併症の危険も(イラスト/いかわやすとし)

SASは眠気による事故のリスクに加え、合併症の危険も(イラスト/いかわやすとし)

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に空気の通り道の上気道が狭くなるため、呼吸が止まったり、浅くなったりする病気だ。治療は主に経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法を行なうが、うまく使用できない症例に対しては舌下神経電気刺激療法が保険適用された。手術で体内にデバイスを留置、吸気に合わせて舌下神経を電気的に刺激し、舌を前に動かしながら気道を確保する。

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満や小さな顎、加齢、舌根沈下(舌の根本が、喉に落ちこむ)などにより、睡眠時に鼻から喉までの上気道が狭くなって発症する。また鼻炎や鼻のポリープ、扁桃腺肥大などが原因で、睡眠中にいびきや無呼吸(10秒以上の呼吸停止)が起こる。

 肥満者は頸部皮下や喉の粘膜下に脂肪が付き、口蓋垂(のどちんこ)の周囲が狭くなり、舌根沈下が一層増す。ただ顎が小さい日本人を含めたアジア人の骨格は、痩せていてもSASの原因になる。

 SASは眠気による事故のリスクが高くなるだけでなく、心筋梗塞や高血圧、不整脈、脳血管障害などの重篤な合併症を引き起こす恐れがある。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院耳鼻咽喉・頭頸科の井下綾子准教授に話を聞いた。

「中等症以上のSASには経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法を行ないます。これは鼻にマスクを装着し、機械で圧力をかけた空気を鼻から送り、気道を確保する治療です。4時間以上の使用日数が評価期間の70%以上になるよう使用することで、睡眠の質の向上や眠気の改善、高血圧や心血管障害リスクの軽減が期待できます。しかし、CPAP療法を継続できない方もいて、そのような患者さんのために開発されたのが、舌下神経電気刺激療法です」

 具体的には胸部と頸部の2か所に外科手術で小型デバイスと導線を植え込み、呼吸を確保する治療となる。まず顎下の舌下神経を探り出し、導線を留置する。次に、胸部に呼吸を感知するセンサーが付いたデバイスを植え込む。

 そして、センサーが胸の動きを感知し、息を吸ったときに顎下の導線に電気信号を送ると、舌を前に動かすオトガイ舌筋が収縮することで舌が前に動き、気道が広がる。

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン