2013年4月、ジョン・ケリー米国務長官(左から2人目)と会談する習近平国家主席(右から2人目)。向かい合って着席している(Avalon/時事通信フォト)
相談ポジションでも、正方形ではなく長方形の長机が使われる場合、その長さが短い辺に座る者がリーダーシップをとりやすいという研究がある。それはまさしく、コの字型に配置された長いテーブルの短い辺、習氏が座る上座の位置取りだ。この席は”ビジビリティ”という周囲の見えやすさと見られやすさが他の席よりに高いため、その場をまとめたり、仕切ったりしやすくなるという。リーダーシップを取るならば、いやリーダーになりたければ、この位置取りが最善になる。そのため、中国はこれまでと態度を変えようとしていると見ることができる。
互いの思惑や国益、世界情勢などから、ここ数年、米中関係は冷え込んでいる。度重なる会談でもその関係が改善する気配はなかった。ブリンケン氏と会談した中国の秦剛外相の認識では、今の米中関係は「最も低迷している」という。だからなのか中国はポジションを変えた。停滞している両国関係を自らリーダーシップをとって改善しようという見方もできるかもしれない。だがこの演出を見る限り、対面で意見をぶつけ合い、並んで歩み寄りながら両国にとって改善を図るより、中国にとっての改善を目指し、中国がリーダーシップを取るという意志表示を印象付けただろう。
米国に戻ったブリンケン氏は会見で「私たちは前進し前向きに進んでいます」と手応えを語ったが、両国の緊張は本当に緩和されていくのだろうか。