気軽にできるラジオ体操にも、身体機能の衰えた高齢者にはケガのリスクがある。

「ラジオ体操には血行の改善効果や精神的なリラックス効果が期待できる一方、60代後半以降の人にはリスクがあります。特に両足でのジャンプは、着地時に前十字靭帯に大きな負担がかかる動きです。加齢により徐々に機能が弱くなる靭帯は鍛えることができません。損傷すると再建手術が必要になる恐れがあるので、ジャンプ運動を無理して行なうのは禁物です」

 また、反復横跳びのように横方向へのジャンプを伴う運動も、中高年以降はリスクが大きいという。

「2010年に発表された首都大学東京(現・東京都立大学)らの研究では、高齢者は若者に比べて関節の位置を元に戻す力が弱いことがわかりました。特に左右のステップは股関節にかかる負担が明らかに大きいため、中高年になってから行なうと痛めるリスクがあります」(同前)

 戸田医師は、60代を過ぎて筋肉や関節が衰えた人には、自転車やエアロバイクを推奨する。

「筋肉の老化は、関節を曲げる時に使う筋肉より伸ばす筋肉、上半身より下半身に顕著になります。特に膝を伸ばす筋力は、70歳では30歳時点の40%まで低下することがこれまでの医学研究で明らかです。加齢に伴う筋力低下を防ぐ観点からは、下半身で伸ばす筋力を使う自転車やエアロバイクがいいでしょう」

「運動が健康にいい」との常識は、体力や年齢に相応しい運動をしてこそ当てはまる。無理をして、自ら健康寿命を縮めるような間違いがあってはならない。

※週刊ポスト2023年6月30日・7月7日号

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