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韓国政府がメディカルツーリズムのブーム後押し、2027年に70万人の計画発表、美容医療などハブ目指す

韓国を訪問する人が増えている(写真はイメージ。dpa/時事通信フォト)

韓国を訪問する人が増えている(写真はイメージ。dpa/時事通信フォト)

 コロナの規制解除以来、美容医療などを目的に韓国に渡る人が増えている。そんな中で、2023年5月、韓国政府はアジア有数のメディカルツーリズムハブになるという計画を発表した。その目標は、2027年までに70万人の外国人医療利用者を誘致すること。入国手続きの改善や混雑緩和などに力を入れる。韓国はメディカルツーリズムの渡航先として一層存在感を増す可能性がある。

世界からメディカルツーリズムを誘致する4つの対策

 ヒフコNEWSで伝えているように、韓国へのメディカルツーリズムは2019年に過去最高を記録した。その人数は49万7000人で、アジアにおいては有数のメディカルツーリズムの渡航先になっている。しかし、コロナの影響により、医療目的で訪問する外国人は激減し、2020年は12万人、2021年は14万6000人となった。コロナの鎮静化とともにメディカルツーリズムも復活し、2022年は前年比7割増の24万8000人に急増した。ヒフコNEWS編集部にも、実際に韓国に渡った日本人から、「韓国に日本人が多数受診している」という情報も入っている。

 韓国にメディカルツーリズムでの来訪者が増えている状況も踏まえ、冒頭のように、韓国政府の保健福祉部は、関係省庁と連携した、メディカルツーリズム推進のための計画「外国人医療利用者誘致促進戦略」を発表した。この戦略には、2027年までに70万人の外国人患者を誘致することを目的とした4つの主要施策が含まれている。その4点について、その内容と見込まれる効果をまとめると、次の通りになる。

・出入国手続きの改善:行政業務の簡素化などにより渡航が簡単になると期待される

・医療利用者集中の緩和:医療機関の分散化などで医療機関の利便性が高まると期待される

・産業競争力の強化:メディカルツーリズム関連産業、特に医療関連産業の活性化により医療機関の利便性が高まると期待される

・世界的知名度の向上:メディカルツーリズムに関連した情報を入手しやすくなることが期待される

食事やアメニティー改善などに期待

 ヒフコNEWSが伝えているように、韓国での分析によって、韓国でのメディカルツーリズムの満足点と不満点が浮き彫りになっている。治療そのものについては満足を示すものの、食事の質や移動時間の案内、安全や事故防止のための案内など、治療以外の点などで満足度が低い傾向も見られた。

 今回の戦略では、入出国手続きの改善や混雑緩和、関連した産業の強化を進めるということで、メディカルツーリズムを利用する人の利便性向上、施設の食事やアメニティーの改善なども進む可能性がある。

 韓国政府が力を入れることで、今後、さらに韓国での美容医療を含めたメディカルツーリズムが身近になる可能性がある。

参考文献
Korea Targeting to be a Medical Tourism Hub in Asia,Attracting 700,000 International Patients in 2027

コロナ・パンデミックが世界の美容を変えた、その背景に韓国美容のトレンド

美容整形を海外で受ける前に知っておきたいこと、米国の研究から学ぶ潜在的なリスク

韓国のメディカルツーリズムが急回復、2022年にはコロナ前の50%に

日本人は韓国でどんな医療を受けている?満足点トップ3および不満点ワースト3とは

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

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