『CODE―願いの代償―』(公式HPより)
次に『CODE―願いの代償―』は、夏ドラマ主要作の中で最速スタート。もともと長期休暇や大きなイベントなどの影響を受けやすい夏ドラマは、視聴習慣をつけてもらうために早い時期にスタートする傾向がありますが、その中でも特に早い作品なのです。
また、同じドラマ枠の前作『だが、情熱はある』は、現在では希少な全12話の力作でした。オードリーや南海キャンディーズの漫才を見事に再現するなど、同作の評判は右肩上がりを保ったまま終了。「その熱気を次の作品に持ち越す」という意味でも間を空けずに放送しようという編成意図が感じられます。
ただ、それぞれの事情や思惑はあっても、同じ曜日の同じ時間帯で放送されている直接的なライバルだけに、どちらも本気でバッティングを避けようと思えばできたはず。『日曜の夜ぐらいは…』は前週の6月25日で終了させ、『CODE―願いの代償―』は次週の7月9日に開始させればよかったものの、それをしなかったところにドラマというコンテンツに対する見方の変化を感じます。
一歩も引けない在阪2局の心境
過去にさかのぼると1990年代あたりまではドラマ枠がバッティングするのは当たり前で、テレビ業界全体の視聴率が高かったため、さほど気にせずに制作・放送されていました。しかし、徐々に視聴率が低下し、特にドラマは録画されやすいなど苦戦しがちだったことから、共倒れになることを避けるためにドラマ枠のバッティングはほぼ消滅。民放各局が示し合わせたようにドラマ枠を分散させたほか、数そのものも減りました。
しかし、2020年代に入ると、視聴率調査のリニューアルやコロナ禍で配信視聴が浸透したことなどから、ドラマの評価が急上昇。スポンサー受けのいいコア層(主に13~49歳)の視聴が見込めるコンテンツとみなされ、配信再生数などの指標も評価対象になり、海外配信なども視野に入るようになったことで、この1年あまりドラマ枠が増え続けています。
その流れで昨春に水曜22時台、今春に日曜22時台で、ドラマ枠がバッティングすることになりました。テレビマンの中には、「配信でも見てもらう前提だから、放送時間のバッティングは以前ほど気にしない」という人もいるなど、考え方が変わりはじめているところもあるようです。