国内

稲田朋美氏が語る安倍晋三氏秘話 「実は安倍さんから『ともちん』と呼ばれたことはないんです」

安倍晋三・元首相との思い出を振り返る稲田朋美氏

安倍晋三・元首相との思い出を振り返る稲田朋美氏

 安倍晋三・元首相が街頭演説中に凶弾に倒れてから、7月8日で1年を迎える。安倍氏の絶大な影響力は、むしろ死後に高まったようにすら思えてくる。改めて、そこまでの権勢を誇った安倍晋三氏は、一体どのような人物だったのか。元防衛相の稲田朋美氏(64)氏が振り返る。

 * * *
「闘う政治家」として目をかけてくださって、大臣にも抜擢していただいた。一番指導してもらったと思います。

 政策面では激しい議論もしました。とくにお亡くなりになる前の1年くらいは直接お話しする機会が多かった。「何であなたはそんなにわからず屋なんだ」と言われたこともあります。

 私は戦後レジームからの脱却や憲法改正、東京裁判の歴史認識などについては安倍総理と完全に一致していましたが、経済財政のあり方とか、社会的マイノリティに対する視線などは少し違うところがあったんです。

 安倍総理は基本的に積極財政派でしたが、私は財政規律は失ってはいけないと考えている。それと私は結婚前の旧姓を法的に使える「婚前氏続称制度」という新たな制度を提案しているんですけど、そういうテーマについても議論をしました。

 私は率直な人間なので違うことは違うと言う。安倍さんは総理までされた大先輩の政治家ですが、私の意見をはっきり言うことができる方でした。批判されても、怒るのではなく、「あなたの言うことはわかるけど、言い方を変えるべきだ」とか、発信の仕方や媒体の選び方、そういうものについても心配していただき、アドバイスもしてくださいました。

 弟子のくせに申し訳ないとも思うのですが、盲従することが弟子じゃないと思う。

 実は、私は安倍さんから(愛称の)「ともちん」と呼ばれたことはないんです。政治家の中で私のことをそう呼んでいた人もいたので、ほかのところでは言っていたかもしれませんが、直接安倍さんの口からは聞いたことがありません。

 銃撃事件の直前、安倍総理からショートメールをいただいたんです。翌日に福井入りしていただく予定だったので、その打ち合わせのために「夜に電話する」と書いてあった。返信はしたのですが、既読になっておらず、おそらく見ていただけなかったと思います。声も聞けなかった。つらかったです。

【プロフィール】
稲田朋美(いなだ・ともみ)/1959年生まれ。早稲田大学法学部卒業。1982年、司法試験合格、1985年、弁護士登録。2005年、初当選。防衛大臣、自民党政調会長、同幹事長代行などを歴任。福井1区選出、当選6回。

※週刊ポスト2023年7月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト