ライフ

流暢な日本語操るフィンランド出身ラウラさんが明かす「早稲田留学時代の致命的な日本語のミス」【連載「日本語に分け入ったとき」】

ラウラさん

ラウラ・コピロウさん

 日本語を母語としないながらも、今は流暢でごく自然な日本語で活躍している外国出身者は、どのような道のりを経てそれほどまで日本語に習熟したのか。日本語教師の資格を持つライターの北村浩子氏がたずねていく。今回は、無類のパフェ好きとしてテレビ等への出演も多数ある、フィンランド大使館勤務のラウラ・コピロウさんにうかがった。留学先の函館の高校で出逢った教師がユニークな授業をしてくれたとのことだが――。【全3回の第2回。第1回から読む

 * * *

 日本での高校生活についても聞いてみよう。クラスには他にも留学生がいたのだろうか。

「私ひとりでした。でも、その環境で勉強できることがうれしかった。やるからにはちゃんとやりたいと思っていたし、もし英語で話しかけられても英語では答えない、日本語で返そうと初日から決めていました。英語は便利すぎて、使い出したらキリがないから。

 とは言え、入学した頃はほんとに語彙が少なくて、レスポンスできないこともありました。函館にはあまり外国人がいないから、その分興味を持ってくれたというか、距離を感じずに接してくれたクラスメイトもいて、全然言葉が通じなかった隣の家のアキコちゃんがミスタードーナツに連れてってくれたりしました。初めての日本のカフェで、話せないけど楽しかったですね」

 当連載で以前おうかがいしたゲストのマライ・メントラインさんも日本の高校に留学した時のことを聞かせてくれた。マライさんは同級生とまったく同じ、日本語だけの授業を受けたとおっしゃっていたが、ラウラさんもそうだったのだろうか。

「はい。免除してもらったのは古典と現国だけで、あとは全部、クラスメイトと一緒に受けました。歴史は来なくていいよと言われたんですけど『いやいや、出ます』って言って(笑)出席しました。

 すごくラッキーだったのは、外国人に日本語を教える資格を持っていた先生がいたことです。免除されていた授業の時、図書室へ行って、1対1でその先生に日本語を教わっていました」

「先生の教え方は、いわゆる聞き流し的な方法だったんですよ。真っ黄色の表紙の、日本語だけが書かれた教科書を開いて、私は先生が話すのを聞いていました。とにかく、ひたすら」

 ひたすら、聞くだけ?

「はい。宿題は、あったのかな……私、宿題は全然嫌じゃないからいくらでもやるんですけど、たくさん出された記憶はないですね。教科書に何書いてあるか分からないまま、ただ先生の日本語をずっと聞いていました」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン