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【高校野球】連覇狙う仙台育英の秘密「150キロトリオ」を進化させたプロ顔負けの「データ解析」

地方大会を圧倒的な強さで制した仙台育英

地方大会を圧倒的な強さで制した仙台育英

 今夏の地方大会では優勝候補と目されていた多くの強豪校が涙を飲んだ。そんななか圧倒的な強さで今年も“聖地”に帰ってきたのが昨夏、東北勢初優勝を果たした仙台育英(宮城)。「150キロトリオ」と呼ばれる3人の本格派投手を抱え、宮城大会を分業制で乗り切った。その強力投手陣は須江航監督の指導のもと、プロ顔負けの最新データ解析で実力を高めていた。

 * * *

地方大会の直前に足を運んだ

 メジャーリーグのシーズンもいよいよ折り返しを迎えようとしていた6月下旬、大谷翔平(エンゼルス)の動作解析を行ってもらうために、現役のプロ野球選手47人が通うアスリートラボ「ネクストベース」を訪ねた。同所では回転数や回転軸を計測する「ラプソード」や秒間2000コマが撮影可能なハイスピードカメラ、足の踏み込み圧がわかる特殊なマウンドを使って、投球動作の解析・分析が行われているが、足を運ぶのはプロ野球選手ばかりではない。

「つい一昨日まで、仙台育英の選手たちが来ていました。全員がここでも140キロを超えていて、速い球を投げる動作に関しては全員がハイレベルだった。とにかく知識が豊富だった。YouTubeなどを使って勉強しているのでしょう」

 そう話したのは、ネクストベースの上級主席研究員・神事努氏だ。昨年、東北勢として初めて全国制覇を遂げた仙台育英の須江航監督がエースの高橋煌稀、同じく右腕の湯田統真、左腕の仁田陽翔という昨夏も経験した150キロトリオを含む7人の投手を引きつれてやって来たという。

 とうとう高校球児がこうした最先端の専門機関を使って、プロ野球選手が技術向上に利用する動作解析を行う時代が訪れたのかと驚いたものだ。同時に、高校野球のアナライズを独自研究してきた須江監督らしい試みとも思った。しかし、時期は6月の末。数週間後には宮城大会の開幕が迫っている状況だ。

「須江監督は『多すぎる情報を整理し、良質な情報を厳選していくのが自分の仕事。最終判断は本人です』とおっしゃっていた。良い意味で“高校野球らしからぬ監督”で、球児を大人として扱っていましたね」

 この夏の宮城大会で、仙台育英の投手陣は5試合でわずか2点しか失点せず、盤石の勝ち上がりを見せた。18対0と大勝した決勝後、150キロトリオにネクストベースでの経験で得られたことを聞いて回った。まずはエース右腕の高橋だ。この日の先発を任されたが、前夜に須江監督からのLINEで先発を伝えられたのだという。

「ボールの回転は綺麗みたいなんですけど、軸足の使い方を指摘された。うまく力をボールに伝えられていない、と。うすうす自分でも分かっていたことなんですが、データでもそれが明確になったので、課題がはっきりしましたね」

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