ライフ

《漫画家・三田紀房の告白》「カネが欲しい! だから僕は漫画を描いた」父親の借金1億円、来る日も来る日も借金を返すだけの地獄の先に掴んだもの

今はデジタルで描く漫画家も多くなった(イメージ)

今はデジタルで描く漫画家も多くなった(イメージ)

 漫画を描き始めたきっかけは、「金目当て」という“不純な動機”だった。――そう赤裸々に明かすのは、『ドラゴン桜』『クロカン』『アルキメデスの大戦』など、数々のヒット作で知られる漫画家・三田紀房氏だ。

 キャリアの始まりは30歳。漫画家になりたいと思ったことは一度もなく、漫画を夢中になって読んだことさえなかったという。漫画との接点といえば、明治大学の剣道部時代に義理の姉の紹介で、漫画家・村上もとか氏から剣道の取材を受けたことがあるくらい。

 三田氏は1958年、岩手県北上市で仕立屋を営む両親の元、3番目の子供として生まれた。大学卒業後、西武百貨店に就職したものの、父親が倒れて実家に戻った三田氏。在職期間はわずか10か月だった。帰郷して待ち受けていたのは父の莫大な借金、その額なんと1億円……。絶望の中で三田氏の目に飛び込んできたのものとは。

 三田氏が漫画家人生を振り返った著書『ボクは漫画家もどき イケてない男の人生大逆転劇』(講談社)から、漫画家になった理由をお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第1回】

 * * *
 当時の僕はとにかくおカネが欲しかった。父が倒れて、実家に帰り家業を手伝うようになって以降、自分の自由になるおカネはまったく手にしていませんでした。

 売り上げがあっても、次の仕入れと借金の返済ですべて右から左に消えていく。自分のために使えるおカネに飢えていたんです。下品に聞こえるかもしれませんが、僕の頭の中にはおカネのことしかなかったと言ってもいいでしょう。

 不思議なもので、人間というのは必要に迫られると、いろんなことを思いつくものですね。「カネが必要」「カネが欲しい」と、そればかり考えていたら、たまたま手に取った漫画雑誌に掲載されていた新人賞募集の告知が目に飛び込んできました。

 雑誌は小学館の「ビッグコミック」でした。はっきりとは覚えていませんが、たまたま入った喫茶店に置いてあったものを見たのか、商品の仕入れのために東京に出たとき新幹線の網棚にあったものを見たのかもしれません。

 大賞の賞金はなんと100万円。「これだ!」と思いました。

 もちろん、漫画など一度も描いたことはありません。それなのになぜと思うかもしれませんが、そのときは、描けるか描けないかなんて考えませんでした。やろうと思った理由は単純です。漫画なら紙とペンさえあれば描くことができる。しかも一人で。これなら、カネがない僕でも挑戦できる。それだけです。

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン