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タクシー乗務員の氏名掲示義務廃止 「ネット怖い」ドライバーたちの本音

2016年から川崎市バスでは、市バス運転手の車内名刺に「受賞歴シール」を掲載している。氏名掲示は信頼の証でもあった[川崎市交通局提供](イメージ、時事通信フォト)2016年から川崎市バスでは、市バス運転手の車内名刺に「受賞歴シール」を掲載している。氏名掲示は信頼の証でもあった[川崎市交通局提供](イメージ、時事通信フォト)

2016年から川崎市バスでは、市バス運転手の車内名刺に「受賞歴シール」を掲載している。氏名掲示は信頼の証でもあった[川崎市交通局提供](イメージ、時事通信フォト)

 客が理不尽な要求やクレームをつけるカスタマーハラスメントが問題となるなか、コンビニや居酒屋など、働く人の名札は必要なのかという疑問が共有されるようになった。気軽に利用できるようになったネット、とくにSNSで徒に拡散される危険のほうが、社会問題となっているからだ。そのため旅客自動車運送事業では、業務の責任の所在をはっきりさせるために行っていたフルネーム掲示が義務ではなくなった。市井の人々の「日常」の変化を記録し続けている日野百草氏が、責任とプライバシー保護のバランスが変化した結果、タクシードライバーたちに何が起きていたのかを聞いた。

 * * *
「私自身は困った経験はありませんが、歓迎するドライバーは多いと思いますよ」

 都心を流していた個人タクシー、新宿から多摩方面へ向かう車内で8月1日に廃止となった「乗務員の氏名掲示義務」について尋ねる。

「実際、ネットで名前をさらされた仲間もいますからね」

 今回の「道路運送法施行規則等の一部改正」は乗務員(ドライバー)のプライバシーを守ることに主眼が置かれている。以下、国交省発表を引く。

〈バス・タクシー・自家用有償旅客運送において、車内での乗務員等の氏名などの掲示義務を廃止します。引き続き旅客の利便の確保を図りつつ、乗務員等のプライバシーにも配慮し、安心して働ける職場環境の整備を促進します〉

 とのことで、近年の一部外資系店舗や大手チェーン店などで導入されている名札の「仮名やニックネーム」という流れに沿ったものである。やはりネットでさらされることはあるのか。

「いるみたいですね。一般人が実名でさらされるなんて、気持ちのいいものじゃないでしょうけどね」

嫌がるドライバーの気持ちはわかる

 日常生活を脅かされかねないネットにおける「さらし行為」、これはドライバーはもちろん、小売や飲食といった「名札」に本名が記載され続けた業界に顕著であった。筆者も以前『接客業の名札は本名であるべきなのか 好きな名前選ばせるコンビニもある』で書いたが、そもそも店員が本名を出す意味があるのか。

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