会話術のタイプ
コールドリーディング
前出のホットリーディングとは対照的に、事前調査なしに相手の心を読むのが「コールドリーディング」と呼ばれるテクニックだ。
このテクニックを日本で最初に紹介したセラピストの石井裕之さんが語る。
「コールドリーディングはアンダーグラウンドのコミュニケーション術。ひと口でいうと〈人を信頼させるための騙しの話術〉です。騙しというとダークに聞こえますが、そのテクニック自体は健全な形で応用することが可能です。
最近ではビジネスマンのセールストークや警察官の尋問、恋愛トークにまで幅広く活用されています」(石井さん・以下同)
では、コールドリーディングは具体的にどのように行われるのだろうか?
「相談者がブースに入った瞬間、占い師は表情・メイク・ファッションなどをチェックし、髪色や日焼け具合などから相手の職業・性格・悩みなどを推測します。
たとえば、相談者の女性がネックレスをしていて、そこにMのイニシャルが彫ってあることに気づいたとします。Mはきっと彼女の名前のイニシャルでしょう。そこから、『この女性は自分を肯定したい思いを持っている』ことがわかります。
しかし、実際には自己否定的になってしまうところがある。だからこそ、その矛盾を自分のイニシャルのネックレスで補っている。そういうふうに〈あたり〉をつけることができます。
ここから占い師は〈誘導〉を織り交ぜていきます。
『あなたは自分を大切にしたいと思っています。でもその半面、自分のことが好きになれない現実に直面することがありますね』と投げかけてみる。人間は誰しも矛盾を抱えた存在です。このように、ひとつのことを逆の側面からの評価と組み合わせるのもコールドリーディングの基本です。
たいていの場合、ここで彼女は自分の感じている悩みを具体的に話し始めます」
