ガソリン価格も上昇している。2023年9月6日(時事通信フォト)

ガソリン価格も高止まりしている。2023年9月6日(時事通信フォト)

答申で1000円を超えた地域は8都府県のみ

 重ねるが岩手だけの話ではない。確かに岩手は日本でもっとも最低賃金の低い県になってしまったが、今回の答申で1000円を超えた地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫の8都府県のみ。他の39道県は800円台、900円台のままである。ガソリン価格も高止まりで車社会の地方に痛手となって久しい。

 岸田首相は「2030年半ば」までに最低賃金1500円を表明しているが、とっくにコストコは最低スタートで1500円、それすら先進国はもちろん、急成長を遂げた新興国の中でも安い時給である。それなのに岩手ひとつとっても新改定で893円、むしろ海外からすれば日本の安くてよく働く労働者を雇えるということか。コストコに限らず多くの外資系企業が日本を消費者から労働者として見る比重を高めている。かつて、日本がアジア諸国を安価な労働者の供給源として扱ったように。

 岩手はこの令和の時代に893円という単独最下位で決定したが、労働者団体や地元有識者の一部から異議も出された。しかし結局、893円で目安のままに最下位で改めて決着となった。「2030年半ば」までに最低賃金1500円という岸田首相の目指す目標まで約10年、それまでに物価高と増税、社会保険料の値上げに日本人の多くは、とくに地方は耐えられるのだろうか。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。

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