芸能

【日比谷野音100年物語】キャロル解散炎上コンサート、キャンディーズの解散宣言…ロックの聖地で繰り広げられた伝説

キャロルの炎上解散コンサート。1975年4月に野音で行った解散コンサートでは、ステージが炎上するハプニングも(写真は1973年4月のロックイベントにて)

キャロルの炎上解散コンサート。1975年4月に野音で行った解散コンサートでは、ステージが炎上するハプニングも(写真は1973年4月のロックイベントにて)

 1923(大正12)年に日本初の大規模野外音楽堂として誕生した「日比谷野外音楽堂」。100周年の今年、さまざまなイベントが行われているが、施設の老朽化による建て替えのため2024年10月より使用休止となる。多くのアーティストに愛され、数々の伝説を生んだ野音の歴史を、ここで振り返ってみよう。1969年、野音で本格的なロックコンサート『ニューロック・ジャム・コンサート』が開催された。これをきっかけに野音は“ロックの聖地”と呼ばれるようになっていった──。【全3回の第2回。第1回から読む】

『ニューロック・ジャム・コンサート』の成功をきっかけに、日本のロックバンドやフォーク歌手などが集結するイベントが多く開催されるようになる。1972年には、吉田拓郎(77才)、アリス、五輪真弓(72才)、かまやつひろしさん(享年78)、加藤和彦さん(享年62)などのフォーク歌手が『フォーク・イン・サマー』を開催。「フォークの殿堂」とも呼ばれ始める。

 1975年4月13日。雨の中、リーゼントスタイルに革ジャン姿で日本のロックシーンを牽引してきた「キャロル」の解散コンサートが行われたのも、この野音だ。

 代表曲である『ファンキー・モンキー・ベイビー』で始まり、ラストの『ルイジアンナ』で会場のボルテージは最高潮に。だが、その直後に事件が起こる。演出のために放った爆竹の火が舞台を形作っていた発泡スチロールに燃え移り、炎は天井にまで達するという、まさに「炎上」状態となったのだ。日比谷野音館長の菊本誠二さん(63才)はこう話す。

「天井に燃え移っても大事に至らなかったのは、野音が屋外だったからでしょう」

 このキャロルの炎上解散コンサートから2年後、人気絶頂のアイドル3人組が世間を驚かす発言をしたのも野音だった。

 ラン、スー、ミキの愛称で親しまれたキャンディーズの解散宣言だ。

キャンディーズの解散宣言。’77年7月、当時人気絶頂だったキャンディーズの「普通の女の子に戻りたい」という衝撃の解散宣言も、野音のステージ上でのことだった

キャンディーズの解散宣言。1977年7月、当時人気絶頂だったキャンディーズの「普通の女の子に戻りたい」という衝撃の解散宣言も、野音のステージ上でのことだった

 1977年7月17日、6000人のファンで超満員の野音は、「キャンディーズ! キャンディーズ!」というファンの熱いコールに包まれていた。

 残すところあと1曲というところで、3人が抱き合い、突然、「私たちは9月いっぱいで解散します」と涙ながらに叫んだのだ。ファンは騒然となり、言葉にならない叫びが会場を包んだ。

「彼女たちが解散宣言の場として野音を選んだ理由はわかりません。ただ、あのようにファンとの距離が近い会場では気持ちも高ぶりやすい。結果的に涙の解散宣言につながったのも、野音がファンと一体化しやすい空間だったからかもしれません」(菊本さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン