二階堂ふみ

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 その他でも、毎週新作が発売されたオリジナルグッズ、ノベライズの早期販売、最終話放送直前に配信視聴も可能なイベント「ファンミーティング」を開催、放送終了後の島根ロケ地ツアーなど、立体的な仕掛けで話題を提供し続けています。「これらの仕掛けにも考察のヒントが隠されているのではないか」という盛り上がり方も含め、視聴者にとってはすべてがファンサービスだったと言っていいでしょう。

福澤克雄監督の求心力と情熱

 3つ目のポイントは、各話の放送時間。順に挙げていくと、第1話の108分を皮切りに、第2話が79分、第3話が69分、第4話が54分、第5話が69分、第6話が54分、第7話が54分、第8話が54分、第9話が79分、第10話が79分と放送時間はバラバラで、連ドラの通常放送である54分は第4・6・7・8話の4回のみでした。

さらに、第9話の前に主要キャストをそろえた『緊急生放送150分SP』を放送し、「本編をあえて30分遅らせる」という実験的な試みも実行。物語重視で放送時間を決めたことが、質の向上や視聴者の熱狂につながった感があります。

 4つ目のポイントは、福澤克雄監督の求心力と情熱。福澤監督はこれまで日曜劇場で『華麗なる一族』『南極大陸』『半沢直樹』『ルーズウェルト・ゲーム』『下町ロケット』『陸王』『ノーサイド・ゲーム』『ドラゴン桜』などのヒット作を手がけてきた業界トップの演出家です。

『VIVANT』は、そんな福澤監督が長いキャリアで初めて原作から手がける一大プロジェクトである上に、来年定年の節目を迎えることもあって、そうそうたるキャストとスタッフが集結。特にモンゴルロケでは、約1000㎞を縦断しながら暑さや砂嵐、気温差や物資不足などに耐えて、足跡1つない砂漠、満天の星空、羊らの大群、スリリングなカーアクションなど、テレビドラマの限界を打ち破るようなスケールの映像を作り上げました。

 そんな情熱の背景にあるのは、「国内だけでなくNetflixなどのグローバルなプラットフォームでも戦える作品を」「1度きりのリアルタイム視聴率だけを争うのではなく、配信で何度も見たくなる作品を」という志の高さ。TBSに限らず日本のドラマを次のステージに連れていくような福澤監督の求心力と情熱が視聴者に伝わったのではないでしょうか。

アグレッシブで先行的なマネタイズ

 最後に5つ目のポイントは、アグレッシブなマネタイズ。これまでドラマは放送による視聴率をベースにしたCM収入で稼ごうとしてきました。しかし、録画や配信での視聴が浸透した現在では、視聴率低下とともに放送収入が低下。新たなマネタイズが求められるようになり、現在は配信再生数をベースにした収入アップが模索されています。

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