ライトライン沿線にあるホンダの販売店には、ライトラインのカラーリングをした自動車が展示されている(撮影:小川裕夫)

ライトライン沿線にあるホンダの販売店には、ライトラインのカラーリングをした自動車が展示されている(撮影:小川裕夫)

 企業の送迎バスは、マイカーに比べて一台における輸送力は大きい。そのため、道路の渋滞は起きづらい。それでも、多くの企業が集積しているので朝夕は渋滞が日常化していた。

 宇都宮市は深刻化する渋滞を解消するべく、駅東側から工業団地へと向かう輸送力の大きな公共交通の新設を模索していた。そして、長い議論を経て新型路面電車の建設が決定。工事の遅れによる開業延期や脱線事故といったアクシデントを経験しながらも、ようやく開業を果たした。

 開業と同時に、沿線に大規模な事業所を構えているホンダは社員用の送迎バスの運行を止めることを表明した。送迎バスに代わって、ホンダは社員に対してライトラインの利用を促している。

「LRT開業に伴い、宇都宮駅から公共交通機関での通勤が可能となるため、専用バスの廃止を決定しました。それらの理由に加えて、通勤時間帯の渋滞解消による地域への貢献、さらにバスからLRTへと切り替えることで脱炭素を推進することにもつながります」と送迎バス廃止の背景を説明するのは本田技研工業広報部の担当者だ。

 ホンダが社員の移動手段を送迎バスからライトラインへと切り替えを表明したことで沿線に事業所を構える他社も同調。これら沿線企業の社員が通勤・退勤でライトラインを利用することになる。

 多くの企業が送迎バスからライトラインに切り替えることで、疑問視されていたライトラインの採算が改善されることが期待される。また、定期的に利用されることで市民の間における存在感も増大する。これは心理的に「ライトラインは宇都宮になくてはならないモノ」というイメージを浸透させるだろう。

東武東上線「みなみ寄居駅」での実績

 それでは、真っ先にライトラインへの転換を表明したホンダは、どのぐらいの社員を送迎バスで運んでいたのか?

「沿線に立地しているのは研究開発施設ですので、そこに勤務する従業員数はお答えできません。送迎バスの路線数や便数もお答えできませんが、1日の利用者は約1200人でした。利用者の大多数が新幹線通勤者であることから、開業後はほぼ全員がLRT通勤にシフトしています」(同)

 実はホンダが社員に対して通勤に鉄道を使うように促すことは、今回の宇都宮が初めてではない。埼玉県でも社員に鉄道通勤へと転換させるための施策を講じている。それを象徴するのが、2020年10月に東武東上線の東武竹沢駅―男衾駅間に新設されたみなみ寄居駅だ。

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