「仕事における勝負は、昨日の自分との勝負なんですよ」
生き方は本人がいいと思えばそれでいい
──これまで財務省勤務、弁護士、コメンテーター、大学教授とさまざまなキャリアを積んでこられました。その立場から今、勉強を頑張っている人たちに向けて、何かアドバイスはありますか?
山口:うーん、仕事に関してはロールモデルになることが、カッコいいところを見せるのではなくて、自分のダメなところも見せていくというスタンスなので……ないかなあ。頑張っている人に私から言えることなんてないんですよ。生き方は本人がいいと思えばそれでいいんです。散々勉強をして、挫折も繰り返してきた私に言わせてしまうと、そんな答えになります。
──山口さんも傷つくことがありましたか?
山口:面接で「ふーん、勉強しかしてこなかったんだね」とそれが悪いことのように言われると、学生の本分は勉強なのになと思います。そういうときに「あなたは一人じゃないから」と『挫折からのキャリア論』(日経BP)を書いたんです。ここには共感がたくさん詰まっているから。
10年後の自分はまったく想像もつかないし、目標もありません
──では今後も新しいキャリアを積んでいくであろう、山口さんの10年後の目標はありますか?
山口:ちょっと10年後の目標を立てるのは、難しいなあと思っています。そもそも自分で目標を立てることが苦手ですし。
ずっと前へ、前へと思って生きてきたんですけど、10年後は今よりも体力が落ちているでしょう。もう40歳の今でも徹夜ができない。昔は「2徹、3徹、喜んで!」だったんですけど、寝ないとどうにもならなくなりましたね。
──周囲と勝負ができなくなる、ということでしょうか。
山口:仕事における勝負は、昨日の自分との勝負なんですよ。昨日の自分よりも成長できているのか、勉強が達成できているのか。その積み重ねが減っていくわけですから、本当に想像がつかない。