国内

重要閣僚の登竜門が軽量級大臣の指定席に…“警察大臣”国家公安委員長歴代の顔ぶれに見る「変化」

(EPA=時事)

女性閣僚5人が話題となった第2次岸田再改造内閣。国家公安委員長には松村祥史参院議員(下から3列目の右端)が就任した(EPA=時事)

 9月13日、「第2次岸田第2次改造内閣」が発足。5月の広島サミットで一時回復したかに見えた内閣支持率は、その後浮上することはなく、各社調査で30〜40%台と低迷を続けている。そうしたなか、社会部記者として長く警察の取材を続ける産経新聞の大島真生氏が注目するのは、いわば“警察大臣”である国家公安委員長のポストだ。この数十年で、同閣僚の「位置付け」が大きく変わったという。どういうことか。大島氏が解説する。

 * * *
「要人警護の強化に取り組み、広島サミットでは(国内外の要人警護で)開催国としての責務を果たすことができ安堵している」──。

 谷公一前国家公安委員長(兵庫県庁OB)は9月13日の離任会見でこう振り返った。淡々としていたのは離任が折り込み済みだったためだろう。昨年8月10日、第2次岸田内閣改造内閣で初入閣。安倍晋三元首相の殺害テロを受けて要人警護改革の真最中だった上に、今年4月には岸田文雄首相もテロの標的になり、その労に報いるための続投もあり得なくはなかった。

 だが岸田首相へのテロの報告を受けた後も「ウナ丼はしっかり食べた」と発言し、釈明に追われた段階でジ・エンド。マスメディアからは「ウナギ大臣」などと名付けられて内閣支持率アップの阻害要因と見なされ、次はもうないことは明々白々だったからである。

 国家公安委員長は“警察担当大臣”。なかなか入閣できない待機組の「初入閣ポスト」「生涯唯一の大臣体験ポスト」として定着した軽量級閣僚。問題発言をした大臣は交代するのも常である上、その発言が警備警察業務関連とくれば、首をすげ替えられても仕方がなかった。

かつては重要閣僚の「登竜門」だった

「早く事件を解決しなくてはと思っていた」──。年号が平成となって半年後の1989年8月10日、渡部恒三国家公安委員長(当時)は就任後初の記者会見で、当時捜査が進行中だった連続誘拐殺人事件の容疑者が断定されたことについて、こう述べた。最初の会見で、リアルタイムで動いていた“個別事件”に現職大臣が言及したところに、警察担当閣僚という特別な立場が反映されていると言えた。

 かつて政界に絶大な影響力を持っていた自民党竹下派(旧田中派)の七奉行のうち、元首相の羽田孜氏をはじめ渡部氏、小沢一郎氏、梶山静六氏、奥田敬和氏と実に5人がこの大臣のイスに座った。

 特に「剛腕」と謳われ、その後自民を2度も下野させるなど「壊し屋」との異名をとった小沢氏の政治力の源泉だったのが、公安警察が握る独自の政界情報であったと噂される。その情報をもたらす警察人脈は、大臣時代から蓄積してきたものと目されている。また実力派官房長官として名をとどろかせた後藤田正晴氏、塩川正十郎氏、野中広務氏もこのポストを経験。首相らと並ぶ三権の長である衆院議長を務めた伊吹文明氏のほか、首相候補に度々名前の挙がる石破茂氏の父・二朗氏もこの職に就いた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン