福田典子アナ(右隣が結婚相手)
だからこそ2010年4月に日曜ゴールデンタイムへの移動が発表された際は、多くの視聴者から「時間帯と内容が合っていない」「持ち味が失われて打ち切られるのではないか」などの否定的な声が続出。しかし、結果的に時間を変えながら2021年9月まで10年以上にわたって日曜ゴールデンタイムでの放送が続きました。
『モヤモヤさまぁ~ず2』は2010年代という時期の視聴者嗜好にフィットしたのでしょう。当時は「ネットが幅広い世代に普及して大量の情報を得られるようになり、ロケ番組にそれを求める必然性が薄れる」という背景がありました。1990年代から親しまれてきた情報を詰め込んだ番組だけでなく、楽しさを優先させたゆるい構成の番組が選ばれる余地が生まれていたのです。
また、2011年3月に東日本大震災が発生したことで、重苦しいムードを避けるように、ますます楽しさを優先させたゆるい構成の番組を好む視聴者が増えました。『モヤモヤさまぁ~ず2』は、そのシンボルのような番組であり、だからこそ「全時間帯で最もテレビ視聴者数が多い」と言われる日曜ゴールデンで10年以上も放送され続けていたのでしょう。
さまぁ~ずと歴代アシスタントの大江麻理子アナ、狩野恵里アナ、福田典子アナ、田中瞳アナが見せる笑顔と脱力感が、「翌日の通勤や通学がチラつく日曜夜に人々をなごませる」ような形になっていたのです。
「街ぶら散歩」から「プチ贅沢旅」へ
しかし、2021年10月に日曜ゴールデンタイムから土曜深夜の23時台に移動し、しかも29分短縮。コロナ禍が長期化する中、ゆるいロケ番組のニーズが「日曜ゴールデンタイムで見たいもの」から「深夜帯でゆったりと見たいもの」という開始当初のころに戻った感があったのです。
ちなみに同じ2021年10月にスピンオフ番組の『あさモヤさまぁ~ず2』を土曜早朝の5時30分~6時でスタートさせたものの、わずか半年後に終了。その2022年4月に休日を外れて火曜深夜の23時台に移動したことも含め、番組の影響力はかつてほどではなくなっていました。
その背景として挙げられるのが、コロナ禍で遠出がしづらい状況が続いて、視聴者嗜好が“近くの街ぶら散歩”から“遠くのプチ贅沢旅”に変わったこと。テレビ番組としては、それなりにお金をかけたリゾートや、そこでのグルメやレジャーに人気が集まるようになっていたのです。「癒される対象が楽しそうな街ぶら散歩から、プチ贅沢旅に変わった」という人が増えたのでしょう。
さらに今秋は土曜昼という未開の地に移動。その狙いをテレビ東京の工藤仁巳コンテンツ編成部長は、「のんびり見られる時間帯であらためて番組の魅力を伝えていきたい」「新しいファン層を獲っていきたい」などと語っていました。つまり、「現在『モヤモヤさまぁ~ず2』のゆるいムードに最も合うのが土曜昼」という判断なのでしょう。