初公判を控える

初公判を控える

女方で踊りがうまい若手役者

 だが、公判を控えた猿之助には、さらにAさんとは別の“お付き”がいるという。

「澤瀉屋一門の若手役者のBさんです。事件後、表舞台にまったく出てこなくなったのでどうしたのかと思っていたら、ずっと猿之助さんのそばにいて、身の回りの世話をしているようです」(前出・澤瀉屋関係者)

 Bさんが猿之助の直系弟子として一門に加入してから数年が経つという。

「猿之助さんはBさんに目をかけていて、自主公演に参加させたり、SNSの運用を任せたりと、とても信頼していました。Bさんも事件後、かなりショックを受けていたようでした」(前出・澤瀉屋関係者)

 Bさんは歌舞伎役者としても将来を嘱望されていた。別の澤瀉屋関係者が語る。

「女方で踊りがうまく、若手が集まった公演でも存在感を見せるなど、かなり目立つ存在でした。澤瀉屋の幹部やベテラン役者からの覚えもよく、猿之助さんの新基軸の興行にも積極的に参加する意欲がある役者でした。

 そんな彼が舞台を離れていることは、端から見てもちょっと心配な面がありますね。澤瀉屋の今後を担うような役者になると思っていましたから。もちろん猿之助さんへの感謝の気持ちはあるのでしょうが、役者としていろいろ学ばなければならない大切な時期に舞台を離れなければいけない。本人にも複雑な思いがあるのではないでしょうか」

「無期限休業中」の猿之助に一門の役者たちが付き従うのも、「近く復帰する」と信じているからだろう。ただ、興行主らがいくら猿之助の復帰を計画しようとも、実刑判決ならばしばらく復帰は不可能であり、執行猶予判決だったとしてもハードルは低くない。

「歌舞伎界は完全に黙殺していますが、事件のきっかけは猿之助さんの性加害が報じられたことだとされます。その検証が済まないうちに復帰ができるものでしょうか。復帰の道筋も見えないのに、未来のある一門の若手の弟子たちに身の回りの世話をさせるのは、公私の混同ではないか」(歌舞伎評論家)

 歌舞伎興行を行う松竹に問うと、「保釈中は周囲からのサポート、支援も必要であり、本人を支える配慮として猿之助一門も加わっていると認識しております」という回答だった。
 裁判によって明らかになるのは自殺幇助事件の真相だけ。決して歌舞伎界のほの暗さが照らされることはない。

※女性セブン2023年11月2日号

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