決まっていた「広岡監督解任」シナリオ
しかし、フタを空けてみると結果は阪神の4勝2敗。バースが3試合連続弾、掛布雅之と真弓明信が2本の本塁打を放つなど、シーズン通り阪神打線が一発攻勢で西武を圧倒した。スポーツジャーナリストが言う。
「2勝3敗で第6戦は西武球場に戻ってくる展開となった。1983年の日本シリーズでは同じ星勘定から広岡・西武が巨人に連勝して逆転日本一を達成していたが、1985年の西武では広岡采配が機能しなかった。実は、この時点でシリーズの勝敗に関係なく広岡監督の解任が決まっていたのです。
与えられた戦力ではなく、自分でチームを作りたい。そんな広岡監督の理想を実現するためにGMのポストを新設するように西武本社に進言していたことが堤義明オーナーの逆鱗に触れたとされており、日本シリーズ前に終了後の解任が決定していた。
なぜか日本シリーズ中に広岡監督はこの話を対戦相手の指揮官である吉田監督にも伝えている。広岡監督の勝利への執念が途切れたとも受け取れる状態があり、そうしたなかでの阪神日本一だった」
それから38年が過ぎた。今年の阪神の日本シリーズの対戦相手となるオリックスは、現在リーグ3連覇中で2年連続日本一を目指す強豪。しかも、岡田氏が現役時代に2年間プレーし、監督としても3年間率いたチームだ。古巣と日本シリーズを戦かうのは三原修氏、王貞治氏に次いで3例目となる。
岡田監督は「経験とかも向こうのほうにあるわけやからな。日本シリーズはうちが挑戦者」という気持ちで臨むという。38年ぶりに日本一を奪還し、阪神の歴代ナンバー1監督の座を目指す戦いは敵地で10月28日に開幕する。