59年ぶりの関西対決となる日本シリーズ。阪神は1985年以来、2度目の日本一を目指すことになる。関西の球団で日本一に輝いた監督は、鶴岡一人氏(南海)、上田利治氏(阪急)、吉田義男氏(阪神)、仰木彬氏(オリックス)、中嶋聡氏(オリックス)の5人。今年、オリックスに勝てば、岡田彰布氏が阪神では吉田氏に続く2人目の日本一監督となる。
そうしたなかで、ある阪神OBはこんな話をする。
「関西では日本一監督として吉田さんを持ち上げるが、そこまでとは思っていない阪神OBは多いと思うね。前監督の安藤統男さんが作り上げた戦力で戦っており、あれだけの戦力があると誰がやっても勝つんちゃいますか。采配で勝ったなら翌年(1986年)の最下位はないし、あの日本一も“あんな事情”がなけりゃわからんかった。それに対して岡田監督の采配はさすがというところがある。監督としては岡田のほうが2枚も3枚も上やと思う」
阪神OBたちの間でこうした話が囁かれる背景としての“あんな事情”とは、1985年の日本シリーズの舞台裏のことのようだ。同年の阪神の対戦相手は西武だった。西武では1982年に広岡達朗氏が監督に就任すると、2年連続で日本一になった。3年目の1984年は3位に終わったが、翌年は再びパ・リーグ王者を奪還。阪神との日本シリーズとなった。スポーツ紙論説委員が言う。
「勢いの阪神に対し、緻密な野球の広岡達朗が東尾修や工藤公康を中心にした投手王国を築いた西武。戦前の下馬評は圧倒的に西武有利だった」