海外の人に比べ、日本人は“病院好き”

海外の人に比べ、日本人は“病院好き”

「卵巣がんは超音波やCT、MRIでも発見が難しく、偽陽性を示す確率も高い。結果的に偽陽性だったとしても『陽性』と出てしまった以上、精密検査が必要になります。もちろん、卵巣がんを疑うような症状があれば検診を受ける必要がありますが、無症状なのに偽陽性となれば手術による組織検査に進まねばならず、肉体的、精神的ダメージは大きい」(室井さん)

“最新のがん検査”として宣伝されているものの中には、専門家から有効性が疑問視されているものもあるので、注意が必要だ。

 鋭い嗅覚を持つとされる「線虫」が尿に含まれるがんのにおいに集まる性質を利用したという「線虫検査」もその1つ。当初から正確性に疑問符がつけられ、がん検診にかかわる専門学会は今月「精度に懸念がある」として、全国調査の開始を発表した。

「線虫検査は“がんのリスクを発見する”という触れ込みですが、本当にがんがあるのか、どの部位のがんなのかは判断できません。しかも検査の精度が低いので、がんではないのに高リスクと判定されて不必要な検査を受けたり、がんがあるのに低リスクと判定されて検査や治療の機会を逃し、がんが進行してしまう可能性もあります」(岩澤さん)

 血液中に増える蛋白や酵素を血液検査で調べる「腫瘍マーカー」も、すでにがんになっている人に対して使うもので、健康な人が受ける意味はあまりない。しかしこれらの検査を受けて少しでも異常があれば、医師は放っておくことはできない。

「必要のない検査や治療は無意味なだけでなく、体にダメージを与えます。例えば、がんのような病変が見つかったとしても、中には放置していいものもある。しかし、がんと診断された以上、半ば強制的に、負担の大きい検査や治療が行われるのが現状です。早期発見は重要ですが“見つけなくていいもの”が見つかって損する人も少なくないのです」(岡田さん・以下同)

 会社や学校などで定期的に行われる健康診断の中にも、意味がないものがある。「特定健康診査(メタボ健診)」がその代表だ。

「女性は腹囲90cm以上、男性は85cm以上がメタボと診断される1つの基準です。しかしいまはメタボを提唱したWHQでさえ、健康指針に『メタボ』という言葉を使わなくなっており、気にしているのは日本人くらいです。そもそも生活習慣病を予防するには、血圧と血糖値の管理がもっとも重要。腹囲だけを測ったところで、意味はありません」

※女性セブン2023年11月9日号

病院に行くべき症状の目安

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受けるべき、受けなくていい検査は

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リスクがある治療と薬

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