同じくコロナ禍から犬を飼い始めたという大石も、「動物がいることで非常時にも気持ちが落ち着いたり、疲弊した心が癒されたりすると思う。セラピー的な側面からも、同室避難に意義があると感じています。動物が好きな方も苦手な方も安心して過ごせる環境づくりのお手伝いしたい」と語った。
伍代らの熱意を受けて、小林市長は「自助、共助、公助の部分で、行政としてちゃんと仕組みを作っていく必要を感じています」と前向きに発言。
アレルギー体質など多種多様な市民が安心して避難できる環境を目指し、「犬や猫だけではなく爬虫類など様々なペットの種類、また、しつけの度合いやワクチン接種の有無などの違いも、広く受け入れることを想定する必要があるでしょう。ハードルは非常に高い取り組みだとは思いますが、大月市にはペットに優しい町づくりを推進している富士川町もあります。この機会に行政の役割として何が求められるか、どういう方法であれば同室避難が実現できるか、しっかり考えたい」と続けた。小林市長は近年、初めて犬を家族に迎え入れたこともあって、飼い主の目線からも実現を模索したいと語った。
もともと大月市では災害などが起こった際、避難所で乳児の命を如何にして守るのかの研究をしてきたというが、今後はその研究に「ペット」も組み込む予定だという。
意見交換を終えると、伍代は実感を込めて「自分もいちど、避難所生活を体験してみるべきだと思いました。たくさんのワンちゃん、ネコちゃんたち動物と人とが集まる場では、どんなことが不安で、不快に感じるのか。整えるべき点を具体的に洗い出して、進めていく必要がありますね」と、決意を新たにした。
伍代は10月19日に早速、同室避難の避難訓練が実際に行われた鹿児島県・奄美市を表敬訪問。避難訓練を運営した、創作家のうささんと共に安田正平市長らと懇談を行った。
うささんは2011年の東日本大震災で多くの動物も犠牲になったことに胸を痛めて、命の平等や大切さを訴える活動をスタート。2016年の熊本地震では行方不明になった動物を救出する「チームうーにゃん」を結成し、ペットとの同室避難を訴えてきた。
伍代とは「りく・なつ同室避難推進プロジェクト」発足時に志を同じくする仲間として対談した縁もあり、この日、ふたたび顔を合わせた。