スーパーの精肉売り場を視察する岸田文雄首相(中央)[代表撮影](時事通信フォト)

スーパーの精肉売り場を視察する岸田文雄首相(中央)2023年10月[代表撮影](時事通信フォト)

 もちろん半額セールは何も悪くない。彼曰く、むしろ「フードロスも解消しますし、喜んでいただければありがたい」とのこと。しかし購買の様子に変化があるという。

「人気の巻き寿司は今では30%(引き)の段階で売れますね。むしろ半額まで残るお弁当やお惣菜はこれまで売れ残っていたものが多いのです」

 店によってさまざまだが、10%、30%、そして半額と段階的に値下げしていく。それが人気のお弁当やお惣菜は10%とか、30%とかで売れてしまうということか」

「私の印象でしか無いですが、これまで定価の398円で買えた人が498円になったから30%、ということだと思います。別にみなさん食べるに困るほどの方々ではない、でもこれまでのような買い物はしたくてもできない、しないほうがいいと考える、それがじわじわと広がっているように思います」

 筆者が代弁するが、つまりよりお金のない人、使えるお金の減った人から順に買えるものが減っている。それが多数を占める中間層にまで来た。いや、中間層にもいろいろで、いま一番厳しいのは中間層の下位から中位の層ではないか。

「これはお店と別の話として聞いて欲しいのですが、私だってそれほどの収入があるわけではありません。それが税金や各種保険が上がって、引かれて、使えるお金が減っている、そこに物価高、多少の賃金上昇はあってもこの物価高には追いつかない、それがいよいよ来たのだなと、そう思うのです」

 こうした話は政情不安の国や一部の途上国の話だとずっと思ってきた。確かに先進諸国も物価高は尋常でない。しかし賃金の上昇率も凄まじい。これによって世界の市場で「買い勝つ」ことができている。

「いま気にしないで済む方も、次は物価高騰に飲み込まれる、私もこういう経験はないので、怖いですよ」

 この国は税金が上がり、物価が上がり賃金は上がらないまま、たまに税金を下げると言っても仕組みが複雑で、結局は現役世代の手元に残るお金が減る、を繰り返している。

 岸田文雄首相は最低賃金額について「2030年代半ばまでに1500円を目指す」と宣言したが、10年後に1500円。やみくもに批判したいわけではないが、これがこの国のトップの現実だ。「明日は今日より良くなる」とも述べたが、一般国民の実感はどうだろう。岸田首相の支持率はついに政権発足以降過去最低の26.9%、これが正直な声と思うのだが。

「光熱費もガソリンも以前に比べれば高いままです。税金や保険料を引かれて残る額も減っているから昇給分をカバーしきれない、そして物価高、本当に凄い勢いですよね。現場にいても怖いくらいです。『いくらでも値上げできるからいいよな』なんてお客様に冗談で言われますけど、値上げで販売が落ち込むことのほうが多いのです」

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