ビジネス

スーパーの半額シール待ちをする人たち 「使うお金を減らすしかない」と買い控えが加速

半額シールが貼られるのを待つ人たちが増えてきた(イメージ)

半額シールが貼られるのを待つ人たちが増えてきた(イメージ)

 2022年夏に中国地方で、自前の値引きシールをスーパーマーケットで勝手に貼り、セルフレジを通す万引きを繰り返した男が窃盗罪で逮捕された。2023年夏には関西地方で、パート従業員の女性が勤務先のスーパーで半額シールを勝手に貼り母親に購入させようとして逮捕された。罪を犯してしまっては元も子もないが、値引きや半額シールは最近、フードロス削減よりも生活防衛のために手に取る買い物客が増えている。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、半額シールをめぐる最近の様子をレポートする。

 * * *
「使えるお金が減っていますし、物価高は店としてはどうすることもできません。私も含めて生活の危機が迫っていることを、現場にいると感じます」

 都内のスーパーマーケット、夜9時をまわりいつもの「半額シール」が貼られようとしていた。筆者は定期的にこの場面を取材している。店側の協力あってこそだが、50代の店舗スタッフは「生活の危機」とまで語る。

「もう今年に入ってどれだけ値上げしたかわからない。いままでこれほど値上げした経験はありません。何もかも高いなと、自分の店でも思いますよ」

 2023年4月に約5100品目の値上げがあり、10月にも約4600品目が値上げになった。品目なので、そこに数として加算されないお弁当やお惣菜なども上がることを考えればどれだけの生活用品が値上げになったか、とくに食料品類は食べていかなければならない私たちにとって深刻だ。

 物価高と増税、社会保障費の増大によって多くのサラリーマンや自営業者の使えるお金、可処分所得が減っている。

食べるに困らないが、これまでのような買い物はできない

「以前は半額シールを貼ってもあまる惣菜や弁当がありましたが、最近ではほとんどが売り切れますね」

 若い店員が手際よく半額のシールを手元の機械で貼っていく。

「この時間まで待っていたり、この時間を見計らって来てくだったりします。元値の半額ですからお買い得だと思いますよ」

 筆者の大好きな巻き寿司は定価だと398円から498円に値上げされていた。それが半額となれば嬉しい話。しかし巻き寿司はすでにない。半額のシールを貼るまでもなく売れた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン