2022年10月にも、岸田文雄首相(左)は商店街のスーパーマーケットを視察している[代表撮影](時事通信フォト)
コロナ禍を経た私たちは今後、さらなる未曽有の物価高騰の時代に突入するのだろう。しかし岸田首相は10月26日、「消費税率の引き下げは考えていない」と改めて明言した。またその前日の25日にはインボイス制度も「廃止することは考えていない」とした。
安易な首相批判のつもりはない、実際に苦境に立たされる一般国民の自衛は限界、結局のところ国が何とかしてくれなければどうにもならない、それが政治責任ということであることは事実だからだ。
その岸田首相は10月16日、都内のスーパーマーケットで物価高の現状を視察した。「確かに高くなっている」と述べたが、「今月中(10月)にまとめる経済対策の中で、みなさんの思いを反映できるような対策を盛り込む努力をしたい」とした努力の跡は見られないように思う。
「お昼時のスーパーではなく、遅くまで働く方々やご家族のためにより安く買い求めようとする方々のいる夜のスーパーこそ、ぜひ視察して欲しいと思います」
冒頭のスタッフの言葉、これもまた、現場の正直な言葉だと思う。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。