現役時代はグアムなどで自主トレを行ない、坂本(左端)、長野(左から2番目)を慕う若手の面倒も見た(写真は2013年)
外様だけ切ってもダメ
阿部監督は内野のポジション固定を明言する一方、外野陣のレギュラーをはっきりさせていない。
「頭一つ抜けている秋広の他には、昨年のドラフト1位・浅野翔吾(18)やドラフト2位・萩尾匡也(22)、一昨年のドラフト5位の岡田悠希(23)も台頭しています。さらに今年も即戦力の佐々木俊輔(24・日立製作所)を3位指名。彼もレギュラー争いに加わってくる」(前出・巨人番記者)
さらに外野には丸佳浩(34)もいる。丸はベテランの参加を免除した秋季練習(10月14日~30日)に自ら志願し、全体練習に参加。全日程の2週間を皆勤しており、丸の猛アピールが奏功すれば、若返りは絵に描いた餅となる。さらなる問題は、“丸をスパッと切ればいい”という単純な話ではないところだろう。別の巨人OBが言う。
「FA組の丸や梶谷(隆幸)をシビアに扱うなら、現役時代に阿部監督が一緒に自主トレを行なってきた“阿部派”の長野久義(38)もシビアに見なければ周りが納得しないのではないか。
巨人は昔から選手が派閥を作りたがる傾向があり、阿部監督は現役時代、長野や坂本を中心とした野手に加え、投手コーチに就任した内海哲也の“内海組”も加えた最大派閥を率いていた。一方、丸はもともと派閥に属さないタイプで、巨人に移籍後も一匹狼でトレーニングしてきた。外様の丸だけスパッと見切りをつけられたとしても、身内の長野や坂本はそうはいかないのではないか。しかし、そんな二枚舌では選手たちがついてくるとは思えない」
同様の問題はチーム内にいくつもある。現役時代の阿部監督が捕手から退いた際、後継者として期待された小林誠司(34)もそうだ。
「阿部監督は当時、野村克也氏の野村ノートを真似た“阿部ノート”に、自身が2000試合以上でマスクをかぶって培った捕手論を詰め込み、小林に薫陶を授けた。それが今では正捕手の座は大城卓三(30)に奪われ、岸田行倫(27)も台頭して第三捕手。本来なら、トレード要員に浮上してもおかしくないが、阿部監督がどこまで冷徹に判断できるかに注目です」(前出・スポーツ紙デスク)