スポーツ

《変化を望まず?》羽生結弦の離婚報道から浮かび上がるトップアスリートゆえの「現状維持バイアス」の大きさ

北京冬季五輪での羽生結弦(SPUTNIK/時事通信フォト)

北京冬季五輪での羽生結弦(SPUTNIK/時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、唐突にみえた羽生結弦の離婚からうかがえるトップアスリートであり続けるがゆえの「現状維持」を保とうとする圧力について。

 * * *
 家族の絆は、それほどまでに強固だったのか。というのが、12月4日、NEWSポストセブンで公開された『【羽生結弦「105日間の新婚生活」の真相】母親はお相手を”完無視”か、”追い出し部屋”と化していた愛の巣』と、『【羽生結弦「105日間の新婚生活」の真相】ファミリー企業に入らなかったお相手 地元紙の実名報道に物議』という記事を読んだ感想だ。

 羽生さんが8月4日に「入籍した」と公式SNSで公表した時にも驚いたが、11月17日、たった105日で「離婚するという決断をいたしました」とSNSで発表した時にはさらに驚いた。記事に書かれているように、マスコミは羽生さんの結婚を国民の関心事と捉えていたのか、離婚に当たってはNHKが速報を打ったほど。《隠そうとすればするほど、大衆の相手が誰か知りたいという気持ちを高ぶらせてしまった》という表現の通り、お相手が誰なのか突き止めようとメディアでは噂や憶測が飛び交った。羽生さんが結婚相手を公表しなかったことが、人々の内にある「心理的リアクタンス」に火をつけてしまったのだ。

 人は自分の欲求や行動を制限されると、それに反発し抵抗しようとする心理が働く。特に今回は、リアクタンスの一種である「カリギュラ効果」が働いた。見るな、覗くな、ダメだと禁止されると、余計そうしたくなるという心理である。離婚に際して出された羽生さんのコメントから、世間やマスコミ、様々なメディア媒体が持っただろうカリギュラ効果により報道が過熱し、お相手も家族もそれに耐えられなくなったため、このような決断に至ったのかと思っていた。

 だが記事を読むと、理由はどうもそれだけではなかったようだ。《別のハードル》と表現されていたが、もしかすると羽生さんの”家族の絆”による「現状維持バイアス」が幸せな結婚を阻んだのかもしれない。このバイアスは、変化することを好まず、このままでよいと現状に固執する心理的傾向のこと。これが強いと、新しいことを受け入れるほうが合理的であっても、これまでと違うことによるリスクやマイナスを考え、現状のままでいいと保守的になりやすくなる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト