自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーをめぐる裏金問題が急展開を見せている。岸田文雄・首相は、安倍派に所属する政務三役(閣僚・副大臣・政務官)を全員交代させる方向で検討しているとも報じられており、12月13日の臨時国会閉会後に人事が進められる見通しだが、そう簡単に事は進まなそうだ。
岸田首相は自派閥の宏池会が党内第4派閥というポジションのため、所属議員99人の最大派閥である安倍派の人材を重用してきた。しかし、安倍派5人衆と呼ばれる松野博一・官房長官、西村康稔・経済産業相、萩生田光一・党政調会長、高木毅・党国会対策委員長、世耕弘成・党参院幹事長がいずれも派閥からのキックバックを受け取っていた疑惑が浮上しており、内閣・党役員の人事に着手せざるを得ない状況になっている。
とりわけ、内閣のスポークスマン役にあたる官房長官の後任人事では、官房長官経験者である茂木派の加藤勝信氏のほか、田村憲久・元厚労相(岸田派)、小泉進次郎・元環境相(無派閥)らの名前が挙がっている。
しかし、「イメージ刷新のための人事といっても、難航するのは必至ではないか」と話すのは、安倍派以外の派閥に所属する中堅議員だ。
「ただでさえ支持率が低空飛行状態にあって長くはもたないとみられていた岸田政権を裏金問題が直撃した格好だ。重要ポストをエサにしたところで、入閣して数か月で内閣が潰れてしまったら、なんの意味もない。どうせ沈む船に乗りたいと思う人間なんていないでしょう。周りには“入閣要請があっても断わる”と話している議員もいる」