米国のキッシンジャー国務長官と対談する田中角栄氏(時事通信フォト)

米国のキッシンジャー国務長官と対談する田中角栄氏(時事通信フォト)

できないならオレがやる

 官僚は前例主義にこだわり、オヤジが政策を提案しても、前例や法令をタテに反論することが多々あった。だが、オヤジはそれを許さなかった。

「前例でできないのなら新しい法をつくれ」「立ちはだかる法令があるなら改正したほうが国民のためだ!」と命じるわけです。33本の議員立法に携わり、法律づくりに精通していたオヤジにそう言われたら、官僚は動かざるを得ない。

 そうして大蔵省(現・財務省)の既得権を打ち破ったのが道路特定財源でした。それまで大蔵省が一手に集め、使途を決めていた税の使い途を独占されないよう「ガソリン税」という大蔵省所管外の財源をつくり、使い途を独占されない方法を編み出したのです。

〈朝賀氏は「岸田政権は政策以前に、“何をしたいか”が国民に伝わっていない」と苦言を呈す〉

 オヤジは官僚を使いこなした。そして国民には「できないことはある。だが、できることはやる!」と訴えかけました。

 自分の思いを率直に投げた。だからこそ、国民も官僚も納得したのでしょう。

【プロフィール】
朝賀昭(あさか・あきら)/1943年東京都生まれ。元秘書。中央大学法学部卒業後、田中角栄の秘書に。「田中軍団」秘書会を統括し、23年にわたり角栄を支えた。

※週刊ポスト2023年12月22日号

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