りんご娘時代の王林(りんご娘のInstagramより)
──悩みながらも活動を続け、表現の幅も確実に広がっています。この1年9カ月ほどの間で、心境の変化はありますか。
「こうして芸能の仕事を今でもやらせてもらえている状況は、素直に嬉しいです。もともと、モデルになりたくてはじめたこの仕事。りんご娘にいたときは、グループ優先でなかなかバラエティー番組への出演などができませんでした。けど、今になってそういった仕事もさせていただけるようになり、『そうだ、王林はモデルをやりたくてこの世界に入ったんだ』と、子どもの頃の気持ちを思い出すこともできました。今までできなかったことが、一気にバァーッとできるようになった感じですね」──3月に起ち上げたアパレルブランド『What Is Heart(わいは)』もそのひとつですか。
「アパレルやジュエリーなどのファッションアイテムを通して、青森の伝統工芸や地域に根づいた文化をもっと広めることができるんじゃないかというのは、りんご娘のときから考えていたんです。ただ、アパレルは芸能のお仕事をやっていなくてもできることだし、『タレント・王林』のイメージがついてほしくないという気持ちもあったので、芸能界を辞めてから起ち上げようと思っていました」
──アパレルは引退後のプランだったんですね。
「それが、りんご娘のときから応援してくださっている『Right-on(ライトオン)』さんが『卒業を機にやりませんか?』と声をかけてくれて、スタートすることになりました。
王林の存在からブランド(What Is Heart)に興味を持って、実際に着たり身につけてみたりするなかで、『あぁ、これには青森の伝統工芸が使われているんだ』と知ってくれる人も多い。そういった意味でも、芸能活動を続けていてよかったと思っています。ちなみに、ブランド名の『わいは』は、驚いたときに使う青森の方言からとったものです」
「演技はもう大丈夫です(笑)」
──新しい分野の開拓と言えば、4月には日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)で連続ドラマ初出演を果たしました。「津軽弁のバトラー」という個性的な役柄の評判もよかったですし、女優業は今後も力を入れていく?
「それまでもオファーをいただくことはあったのですが、誰かを演じるということに興味が持てなくて。そもそも、津軽弁しかしゃべれないし、青森をPRしたくて芸能活動をしているのに、標準語を話す姿を見せることの意味もよく分からなかった。そんな王林の気持ちを理解していただき、そのままの津軽弁でいいよと言ってもらえたので、『ラストマン』に出演させていただくことになりました」
──ドラマの現場はどうでしたか?
「撮影の合間には、共演者のみなさんに青森の話をしたり、差し入れで青森のものを食べてもらえたりできたのも嬉しかった。現場自体は、すごく楽しかったです。チャレンジしてみて、演技への興味……は、やっぱり湧かなかったですね。演技は、本当にもう大丈夫です(笑)」
