学会員から寄せられた池田夫妻のツーショット

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誰が“名付け親”になる?

 池田氏とともに消えゆくものもありそうだ。その一つが「命名」だ。池田氏にその名をつけてもらったという正木正明元理事長の長男でライターの正木伸城氏は「(教団のトップである)師匠に子の名前をつけてもらう伝統は戸田会長の頃からあった」と語る。博正氏も戸田氏の示唆で命名されているが、池田体制下で命名は制度化されてきた、と伸城氏が続ける。

「創価学園では男なら伸一や光一、女性なら妙子や貴子といった重複する名前の級友が何人もいたのです。不思議に思って聞いていくと、みんな親が“命名申請”をしていたのだと気づいた」

 元本部職員が解説する。

「地元の支部にある用紙に記入して申請します。そこから本部の第一庶務室に連絡が行き、2~3日で返事がきます。ドライに“システム化”されていた印象がある」

 創価学会の官僚機構は、戦後、急増する学会員の欲求をさまざまな工夫で受け止めてきた。池田氏へのニーズの集中による破綻を防ぐ工夫の一つが命名申請の仕組みであり、トップが端的に指示を出せるようにする冒頭の3つの電話(前編参照)だったのだろう。だが、残った幹部にその情熱が向かうことはもうない。伸城氏が補う。

「創価学会は池田氏までの3人の会長を『永遠の師匠』と定めている。池田氏のご家族が、ご家族であることを理由に組織を動かすこともないはずです。ただ絶対にないと思いますが、万が一、博正さんが学会のあり方に改革を唱え出したら、大きな議論を誘発する可能性はある。それほど大きな力が池田大作という系譜にはあるんです」

 池田氏が残したものが、教団の未来をどう左右するのか。まだ見通せない部分は大きい。

【プロフィール】

広野真嗣(ひろの・しんじ)/1975年、東京都生まれ。慶応義塾大法学部卒。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、2015年からフリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞

※週刊ポスト2024年1月1・5日号

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