国内

能登半島地震で太平洋プレートの動きが活発化している可能性 南海トラフ地震には引き続き要警戒

時事通信フォト

倒壊した建物も(時事通信フォト)

「妻が下敷きになっとる!」「がれきの下にじいちゃんがいるんです。どうにか助けてください!」「津波だ、逃げろ!」。ほんの少し前までの正月の一家団らんが一変。至るところで悲鳴や助けを呼ぶ声が聞こえる──。

 1月1日午後4時10分。石川県能登地方で発生した「令和6年能登半島地震」は最大震度7を観測。激しい揺れが北陸三県や甲信越地方を襲った。最も被害が大きかったのは石川県の能登地方だ。7階建てのビルすら根元から折れたように倒れたほどの衝撃で、多くの家屋が倒壊した。沿岸部では津波も発生。道路は地割れを起こし、避難する車の行く手を阻む。割れた溝にハマり走行不能に陥る車もあった。

「家屋の倒壊によって生き埋めになった人、火災から逃げ遅れた人など、多くの犠牲者が出ています。特に輪島市の観光名所『輪島朝市』周辺では大規模火災が発生し、約200棟が燃えて焼け野原となりました。断水や停電などライフラインも止まり、石川県内だけで3万人以上が避難していますが、まだ被害の全容は明らかになっていません」(全国紙社会部記者)

 石川県内の死者数は78人(1月4日正午現在)にのぼったが、あくまで被害の一部であり、今後、犠牲者の数は増えるとみられている。

 今回発生した地震には、兆候があったといわれている。能登地方では2020年12月〜2023年12月までの3年間で、震度1以上の地震を計506回観測しており、2022年6月19日に最大震度6弱、2023年5月5日には同6強の地震が発生した。

「以前から能登半島の地震活動は活発化していました。この地方は断層が多く存在し、一連の活動の中で連鎖的に地震が発生したとみられています。そして、この連鎖は今回の地震だけでは終わらない可能性が指摘されているのです」(科学ジャーナリスト)

 この大地震は、地球の表面を覆うプレート(岩盤)内部で起きる「内陸型」。北西と南東方向からプレートを押す力が働き、断層が上下にずれる「逆断層」によって引き起こされたとみられる。そもそも、日本列島は「北米プレート」と「ユーラシアプレート」、「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」の4つのプレートの境界線上に位置する特殊な環境にある。立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学さんが解説する。

「日本で起きる地震は、これらのプレート同士が押し合うことで、ひずみが生じたり、ズレてしまうことで起きています。能登半島地震は、プレート同士が正面からぶつかり合って浅い断層で起こったものとみられていますが、多くの地震が繰り返された結果、プレートに新たな“異変”が起きた可能性もあります。プレートは広範囲に広がっているので、地震活動が活発化したいま、別の地域で大きな地震が発生するリスクも上がっている可能性があるのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン