高齢者の4分の1が7種類以上を処方

高齢者の4分の1が7種類以上を処方

「骨粗しょう症にはビスホスホネート系の薬がよく使われますが、食欲不振や胃もたれを起こすことがある。本人が薬のせいだと気づかずに受診した場合、胃腸薬が増量されたり、精神的な病気と間違えられてメンタルクリニックを紹介されることもありえます」(一石さん)

 女性特有の困った症状も薬が引き起こしている場合がある。松田さんが説明する。

「腟カンジダや膀胱炎、陰部不快感で悩む人が、実は糖尿病の『SGLT2阻害薬』の副作用だったケースがあります。私も局部のかゆみで悩む女性に薬の服用をやめてもらったところ、ピタリとおさまったことがありました」

 外見に影響を与える薬もある。埼玉県在住のIさん(54才/女性)は昨年の夏、更年期障害の治療で向精神薬を処方された。

「すると肌が黒ずんでいき、20才くらい老けてしまいました。それが気になってうつ気味になり、余計に多く薬をのむようになりました。医師の友人に相談すると、向精神薬が原因ではないかと言われ、別のクリニックに行き処方をやめてもらうと、肌の黒ずみがおさまってきました」

 長澤さんが言う。

「向精神薬は見た目の老化をもたらす副作用があります。向精神薬には気持ちを上げるものと落ち着かせるものとがありますが、いずれも容貌を老けさせるとされます」

 手足のむくみも、手軽にのんでいる痛み止めのせいかもしれない。

「広く使われている解熱鎮痛剤のロキソプロフェンで、手や足がむくむことがある。のみ薬だけでなく、テープなど貼る薬でも起き、やめるとむくみが落ち着いた人がいました。特に腎臓や心臓が悪いかたや長期にわたって使っている人は注意してほしい」(三上さん)

 ふっくらして見えるくらいならまだいいが、薬のせいで顔つきのみならず性格も変わってしまう人もいる。

「認知症薬では急に怒りっぽくなる人がいる。向精神薬でも激しく怒り出すことが報告されています」(松田さん)

 以前、抗インフルエンザ薬を子供が服用すると、幻聴や異常行動が起きたと話題になったが(その後、厚生労働省は因果関係不明と発表)、ほかにも気をつけるべき薬がある。三上さんが言う。

「中耳炎で抗生剤を処方された知人の子供が“前の子の椅子を引け”という男性の声で幻聴が聞こえ、その通りにしたら同級生が座り損ね、頭を打ってけがをさせたとのこと。ほかにも抗生剤をのんでハイテンションになって異常行動を起こした小児の事例も耳にしています」

 もし、いまのんでいる薬の副作用で自分や時には周囲をも危険にさらす可能性があるかもしれないと思ったら、どう対処すべきだろうか。三上さんはこう話す。

「医師は効果や副作用のバランスを考え、治療に必要な薬を処方しています。そのため、勝手に減らしたり服薬を中断するのではなく、服用後に何か気になることがあれば主治医や薬剤師に悩んでいる症状を早めに相談してみてください」

 長澤さんが続ける。

「医師に伝えづらい場合は、薬局の薬剤師に先に相談してみてください。疑義照会といって薬剤師から医師に処方を問い合わせる仕組みがあり、リスクがある場合は医師に伝えることができます」

 治療のためにお金を払って受け取る薬。それによって別の病気になることだけは絶対に避けたい。

(了。前編を読む

※女性セブン2024年1月18・25日号

薬を上手に減らす7か条

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