国内

「荒れる成人式」を期待する大人がいる一方で、新成人たちは意外に冷静だった

成人の日に自治体が開催する式典会場周辺を歩く参加者ら(イメージ、時事通信フォト)

成人の日に自治体が開催する式典会場周辺を歩く参加者ら(イメージ、時事通信フォト)

 18歳が成人と法律が変わってから「二十歳の集い」と呼ばれることが増えた成人式が、2024年も国民の祝日である成人の日、1月8日(月)を中心に全国で行われた。2000年代には、式典の進行を妨げるほどの大騒ぎをする新成人たちが各地で出現していたが、最近の新成人はおしなべて行儀がよい。だが大人たちは、大人げなく暴れる新成人が成人式に現れることを期待しているらしい。ライターの宮添優氏が、現実の新成人と、成人式への認識がアップデートできない大人たちのあいだで起きるギャップについてレポートする。

 * * *
「全国で開催される『二十歳の集い』に、もちろん我々もあちこちに取材へと出かけるのですが、デスクからの指示は“何かトラブルをとってこい”というものばかり。いまだに“荒れる成人式”というイメージが強いのでしょうが、ほとんど世代の変わらない僕としては、なんか馬鹿にされたような気分です」

 こう筆者に打ち明けてくれたのは、都内キー局で放送されている、とある情報番組のAD・中山和希さん(仮名・22歳)。テレビで流れる今年の「集い」を取材したVTRの中にも、確かにド派手な袴を着て、カメラに向かって「ウェーイ」とポーズをとる若者の姿を見なかったわけではない。また、ごく一部の参加者が酒を飲み警察と揉み合いになっている、という例も確かにあった。だが、デスクに命じられたような「荒れる若者」の映像は全くといっていいほど撮れなかった。そう報告すると「本当に取材をしたのか」と嫌味を言われたが「ないものは撮れない」と中山さんは嘆く。

時代は変わりました

 確かに、現在アラフォーの筆者が成人式に参加したときも、会場内は荒れに荒れていたし、その後十数年は、そういった状態が続いたように記憶している。会場近くには暴走族が集まり、新成人が持参した酒の一升瓶をがぶ飲みし、市長がスピーチ中の壇上に上がり込み悪ふざけをするなど。長らく全国の「成人式」でよく見かけた光景は、この数年、ぱたりと見かけなくなった。

「壇上に登って市長をからかったり、会場内で花火を打ち上げたりと、かなりの騒動が起きるのが当たり前でした。毎年というほど逮捕者が出て大変でした」

 まるで、過ぎ去った過去を懐かしむようにかつての「新成人」の蛮行を振り返ってくれたのは、毎年、ド派手な新成人達が集まることで知られる福岡・北九州市の市役所勤務・松尾義彦さん(仮名・50代)。北九州市では今年、ド派手な成人衣装を着た若者達の「ファッションショー」まで開催されたが、今では格好が単に「ド派手」なだけで、昔のように大暴れして迷惑をかける若者はかなり減っている。逆に、地元の貸衣装店や美容室などが協力しあい、北九州市の「文化」として売り出していこうという動きすらあるという。

関連記事

トピックス

代理人・バレロ氏(右)には大谷翔平も信頼を寄せている(時事通信フォト)
大谷翔平が巻き込まれた「豪華ハワイ別荘」訴訟トラブル ビッグビジネスに走る代理人・バレロ氏の“魂胆”と大谷が“絶大なる信頼”を置く理由
週刊ポスト
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
大臣としての資質が問われる(写真/共同通信社)
三原じゅん子・こども政策担当相が暴力団とゴルフ写真の“反社疑惑”にダンマリの理由「官邸は三原氏のことなど構っていられない」
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
NEWSポストセブン
《高まる中国の軍事的脅威》日中の陸海空の軍事力を徹底比較 日本は海上戦闘や航空戦力では優位を保つも、ミサイル・ドローンでは中国が決定的に優位
《高まる中国の軍事的脅威》日中の陸海空の軍事力を徹底比較 日本は海上戦闘や航空戦力では優位を保つも、ミサイル・ドローンでは中国が決定的に優位
マネーポストWEB