焼失した自宅。玄関には献花が(2021年撮影、時事通信フォト)

焼失した自宅。玄関には献花が(2021年撮影、時事通信フォト)

定時制高校では生徒会長も務めた被告

 母親の目から見て、被告は「几帳面で物静かな性格」だったという。

「同年代の男の子が異性の子と食事に行く時、ある程度の地域や店を決めることがあると思います。しかし被告は行く地域を決めるだけでなく、店で何を注文するか決めるぐらい、細かい性格。几帳面が災いすることが多く、自分で敷いたレールを少しでも外れると、部屋にこもり、塞ぎ込む。自分にはこれしかないと考えると没頭し周りが見えなくなることがあった」(母親の調書)

 厳しい家庭環境にありながら、被告はなんとか中学3年生から別室登校を始め、定時制高校に進学。良い就職先を掴もうと、一念発起して無遅刻無欠席の優等生となり、生徒会長にも選ばれた。しかし、高校卒業後の進路は実母に勝手に決められてしまった。

 CさんにLINEをブロックされたのは、そんな時期の出来事だった。前出のフリーライター・高橋ユキ氏が再び語る。

「『高校での努力は全て無駄だった。やりたくない仕事に就き、稼いだ金を母親に取られる生活になる。何もいいことはない。生まれてこなければよかった』という思いから“極端に将来を悲観し、絶望した気持ちがついに爆発して、もともと持っていた残虐行為への興味が結びつき事件を起こした”と、弁護側は主張しています。

 なお、こういった陳述の最中、遠藤被告が両手で耳を塞ぐ姿がよく見られました。自身の生い立ちが語られたときは、時折目元をティッシュで抑えているようでした」

 死刑を言い渡し、控訴の説明をした後、裁判長は「考えることを諦めないでください」と被告に伝えた。被告は頷いて目をこすり、涙している様子だった。なぜ自分が理不尽な凶行へ至ったのか、どのように償っていくべきか、考え続ける日々が始まる。

◆取材協力/高橋ユキ(フリーライター)

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