ライドシェアに関する意見書を手渡される河野太郎デジタル相(中央)(時事通信)
深刻な“ドライバー不足”
住民からの評判は上々な一方、課題も山積みだと菅原氏はいう。
「ドライバー不足が一番の課題です。現在、同乗登録者は118名いますが、対するドライバーは31名で、そのうち2~3名に依存している状況です。高齢でほとんどが通院目的の同乗者を乗せるという心理的な負担に加え、無償ボランティア行為によるインセンティブの低さが大きな要因。町としても、換金性の無い地元商工会のポイント付与や温泉入浴券の配布を検討したものの、国からは『有償性が否定できない』とコメントをいただき、実現には至りませんでした」
ライドシェアは、担い手となるドライバーがいないと成り立たない。菅原氏は、「利となるインセンティブがないと、ドライバーの継続や増加は難しい」と語る。またライドシェア関連の業務はすべて菅原さんひとりで担当しており、毎日電話の対応やマッチングの取り次ぎに追われているそうだ。自治体の管理体制も課題となる。
天塩町では町内のタクシー会社の人員確保や収益性も厳しいそうで、住民の快適な移動のためには、やはりライドシェアが必要だという。
「基本的にライドシェアだけで地方の交通問題が解決するワケではありませんが、有効な手段のひとつではあります。国には過疎地域での生活手段のひとつとして、前向きに議論してもらいたい」
4月からの「有償ライドシェア解禁」に、天塩町のケーススタディは活かされるのか。今後の動きに注目だ。
(取材・文=中田椋/A4studio)