1981年の武道館ライブに立つ「ザ・ぼんち」
その後、まさとは2001年、亀山の結婚・妊娠を機にコンビを解消する。そして翌年、50歳にして再びおさむとコンビを組むことになった。再結成に至る経緯を尋ねると「話が長くなるんで。もっと楽しい話をしましょうよ」と遮られた。想像するに簡単な話ではなかったのだろう。16年のブランクは、想像以上のハードルだった。まさとが思い出す。
「昔のネタを引っぱり出せばすぐいけると思うたけど、いけませんでしたね。50歳になったら50歳の漫才をやらんとあかんのでしょうね」
おさむも客とのズレを感じていた。
「えー、これもあかんの? と思いながらやってたのを覚えてますね」
そんなとき、救世主が現れた。まさとの回想だ。
「3、4年した頃、いい女性マネージャーがついてくれてね。こんなではあかんて叱ってくれたんです。週に最低でも2回は稽古をしましょうって、スタジオとか部屋をおさえてくれて。やっぱり稽古は嘘をつかんな。やるたびにネタが磨かれていった。周りの見る目も変わってきてね。最近のザ・ぼんち、おもしろいらしいな、って」
ようやく新生ザ・ぼんちの輪郭が像を結び始めていた。
「ストーリーの中で笑かす」
ザ・ぼんちは一昨年、古希記念の単独ライブを開いた。さらに去年から今年にかけては『バック・トゥ・ザ・ネタ』という昔のネタのリメイク版を披露する単独ライブを絶賛、開催中だ。ネタづくりを担当するまさとの漫才への情熱は少しも衰えていない。
「そこでつくったネタをTHE SECONDで試してみたいというのもある」
ただし、賞レース用に加工するつもりはない。
「点数を積み重ねていくというのかな、パッチワークみたいな漫才あるでしょ? あれは嫌」