フィリピン最大のスラム、トンドの大家族に囲まれてタガログ語を鍛えた

フィリピン最大のスラム、トンドの大家族に囲まれてタガログ語を鍛えた

スタンダップコメディとの出会い

 ほりっこしが2016年4月にフィリピンへ渡った時はトリオとしても活動していた。「ハポンスリー」(タガログ語で“3人組の日本人”の意)と呼ばれる日本人の男性芸人3人だ。もちろん英語もタガログ語も、フィリピンの事情もよくわからない3人だから、最初から芸人として食べていけるわけではない。所属先の吉本興業から家賃と生活費を支給してもらい、週2日、タガログ語のレッスンを受けた。

 専属マネージャーもいなかったため、自分たちで切り開いていくしかなかった。吉本を通じてフィリピン人の業界関係者を1人だけ紹介してもらい、徐々に営業が舞い込む。現地の日本人社会にも積極的に入り込んで人脈を作り、クリスマスなどのパーティーでネタを披露した。そうして活動の幅を徐々に広げ、大手テレビ局の人気番組出演に向けたオーディションを受けた時のこと。ほりっこしが振り返る。

「テレビに登場するフィリピンの芸人やコメディーバーを見学に行くと、女装して踊ったり歌ったりするコメディアンが多かったんです。これがフィリピンのお笑いスタイルなのかと思っていたのですが、そのオーディションでスタンダップコメディをやっているグループに出会ったんです」

 ほりっこしは元々、日本でピン芸人だった。「これだ!」と直感し、そのグループが練習ライブをやっているコメディーバーへ通い始めた。

「そこは中華料理屋の下にある小さなバーでした。客がパンパンに入って70人ぐらいの箱です。ゴキブリやネズミがいるようなところで、トイレも汚かった。それでも週1回のオープンマイクに通い、新ネタを披露していました」

 3人組としても活動は続けながら、単独でスタンダップにも挑戦していた。住む場所も知人の紹介で、フィリピン最大のスラム、トンド地区へと引っ越した。15人という大家族に囲まれ、地域密着型でタガログ語を体で覚えた。

「大家族の母ちゃんは日本語が少しできるので、ネタのタガログ語への翻訳をやってもらいました。僕が日本語とタガログ語で説明し、それを母ちゃんが面白く訳してくれるので丸暗記しました」

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