アメリカで超有名なスタンダップコメディアン、ジョー・コイ氏との記念撮影
「笑いが波のようにきた」前代未聞のライブ
そんな生活に転機が訪れたのは、新型コロナが蔓延する直前のことだ。米国で超有名なスタンダップコメディアン、ジョー・コイ(52)が世界ツアーを行うことになり、フィリピンではほりっこしの通うコメディーバーへ来ることが決まった。
ジョー・コイはフィリピン系アメリカ人で、フィリピン国内でも大人気。今年のゴールデングローブ賞では司会も務めた。そんな米コメディー界のVIPの訪問に皆、色めき立った。その当日、ほりっこしはジョー・コイが見守る中で、フリップ芸を披露した。
他にもフィリピン人コメディアンが何人か登場したが、終了後、ほりっこしがジョー・コイから呼ばれ、「ウケてたから今度やるライブで1本やってくれないか?」と、意外なオファーを受ける。そのライブ会場は、マニラでも屈指の大きさを誇り、聴衆は1万人を超える「SMモール・オブ・アジア・アリーナ」だった。日本国内で最大のお笑い劇場、なんばグランド花月(858席)の10倍以上……。ほりっこしが回想する。
「日本の芸人がそんなキャパの会場でネタをやることはありません。フリップ芸だから全員が見えないと説明したら、ジョー・コイさんからスクリーンを使って拡大するから大丈夫と言われて。それで5分間ネタをやらせてもらいました。いやあ、緊張しました。でもウケたんです。1万人もいるので、笑い待ちの時間が長いんです」
「笑い待ち」とはお笑い用語で、聴衆の笑いが収まるまで待つことを指す。
「笑い声が波のように来ました。収まるまで普段の5倍から10倍の時間に感じました。ああ、まだ笑い続けているなって。波がおさまってから次のネタにいくんです。めちゃくちゃ貴重な経験をさせてもらいました」