ちなみに映画の撮影現場には電車で通っていたそうだ。
「一、二度、車で行ったらすごい渋滞に巻き込まれて後悔しました。電車だと本は読めるしスマホで文章を書いたりもできるし、時間を有効に使えていいですよ」
酒場やバーにフラッと入るのが好きで、役づくりの勉強もかねて銀座のクラブやガールズバーに行ったことも。焼肉屋も一人で入れる。
「銀座のクラブはさすがに一人では行きにくくて男性の知人に一緒に行ってもらいました。どこでも一人で行けるのは転勤族の子どもだったからかなって気がします。スマホとかない時代だから、学校から家に帰るときに迷子になって警察で保護されたこともありましたね」
じっくり考えて言葉を選ぶ。「私は不器用なので」と言ったあとで、「不器用かな? 友だちに『あなたは不器用じゃない』と言われたことがあって……」と自問自答する。
「人間、どちらもあるじゃないですか。器用不器用、男性性と女性性。今日はこっちが30%ぐらいだけど、昨日は70%だったとか。ここ一番で馬力が出るけど、終わると『私、今日はがんばったもん』って幼児性全開で、ひどい格好で家にいたりします。相反する要素がバランスを取っているのが自分ですね」
【プロフィール】
真矢ミキ(まや・みき)/1964年大阪府生まれ。1981年宝塚歌劇団へ入団。1995年に花組トップスターに就任。以降、宝塚史上初めて篠山紀信さんによる男役の写真集や武道館コンサートを成功させるなど、「宝塚の革命児」と呼ばれた。1998年10月に宝塚歌劇団を退団。1999年に俳優デビュー。ドラマ、映画、舞台など幅広い分野で活躍。3月18日公開の映画『赦し』や4月6日よりスタートのドラマ『TOKYO VICE Season2』(WOWOW)、6月21日公開の映画『九十歳。何がめでたい』など話題作への出演が続く。
取材・構成/佐久間文子
※女性セブン2024年3月21日号