ダウンタウンは『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』の司会を務めた
ネットの普及やエンタメの多様化などでテレビ番組をリアルタイム視聴してもらうことが難しくなりました。それでも民放各局は今なお視聴率をベースにしたビジネスモデルを続けているため、「リアルタイムで見てもらうためには何を放送したらいいのか」と考え続けていますが、そこで浮上しているのがライブコンテンツへの回帰。「多くの人々が同時に見て楽しさを共有できる」というテレビの原点に返り、「それを最大化できるのが生放送であり、音楽番組である」という考えに至ったのです。
“推し活”で若年層を集められる
実際、現在の音楽番組で重視されているのは、「好きなアーティストとライブを共有できる」「自分以外のファンたちとSNSで盛り上がりながら見られる」「音源や動画とは異なるパフォーマンスが期待できる」「何が起きるかわからないドキドキワクワクがある」などのライブ感。たとえば、今春から放送時間を2時間に拡大する『CDTV ライブ!ライブ!』は、フルサイズでの歌唱やパフォーマンスの熱量にこだわった構成・演出でリアルタイム視聴を獲得しています。
TVerの月間動画再生数が4億回を超え、その3割をコネクテッドTV(インターネットに接続したTV)が占めるなど、「テレビ画面でネットコンテンツを見る」という人が増え続け、リアルタイム視聴の機会が減っていることは間違いありません。そんな状況の中でも視聴率を獲得していかなければいけない民放各局にとって音楽番組の価値は高いのです。
さらに大きいのは、「音楽番組はスポンサー受けのいい若年層がメインの視聴者層になり得る」こと。アイドル、K-POP、声優などのグループが次々に誕生し、推し活が全盛の今、制作サイドは彼らを大量キャスティングすることで、コア層(13~49歳)の個人視聴率を獲得し、広告収入につなげようとしています。
実は音楽番組がお荷物扱いされていた2010年代も、それはレギュラー番組だけの話で、季節ごとに長時間生放送される“大型フェス特番”は視聴率もネットの反響も一定の成果を得られていました。大型フェス特番の活気が苦しい時期でも音楽番組の絶滅を防いだ要因であり、それが今春の復活につながったのです。