欧米のエコノミストや実業家から、インフレ制御不能による米経済失速の可能性が指摘されていることも見逃せない。人類存亡にかかわる戦禍に言及した予言もある。予言に詳しいウェブメディア・TOCANA元編集長でライターの角由紀子氏が言う。
「詩集第8巻77番の〈反キリストが27年、戦争を引き起こす〉という予言は、宗教間対立を背景とした中東のイスラム過激派組織による大規模テロ攻撃を連想させます。現在の緊迫した中東情勢やISの活動活発化を考えると、2027年に何らかの大きな事件が起こっても不思議ではない」
ノストラダムス研究者の間では、イスラム過激派によるテロがきっかけで「27年間に及ぶ第3次世界大戦が勃発する」との見方もあるようだ。小惑星の地球衝突を連想させる記述もある。
〈晴れ渡る空に剣と槍を見る時、最大の悲劇が訪れる〉(第1巻91番)がそれで、36~46年の間に地球に接近する小惑星「アポフィス」または「2023DW」の衝突と解釈するノストラダムス研究者もいる。NASAは「衝突の確率はほぼゼロ」とするが、「軌道の正確な予測は困難」と主張する天文学者もおり、可能性を排除することはできない。
ノストラダムスの予言をめぐっては、ことさらに危機を煽ることへの批判がかねてつきまとってきた。だが、50年前と同様、世界情勢の不安とともにいつ何が起きるかわからない世の中だからこそ、人々はノストラダムスの予言に未来を求めるのかもしれない。
※週刊ポスト2024年4月12・19日号