度が過ぎるほどのめり込んでしまう“凝り性”。のめり込むことで満足感を得られる一方で、失敗もつきものだ。体験取材でおなじみの『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、自身の凝り性について綴る。
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しばらく前から甘酒作りに夢中で、寝ても覚めても頭に浮かぶのは、米麹や麹菌のこと。私をよく知る友人は、「究極の甘酒ができたって騒いでいたと思ったら、紅麹のニュースでしょ。オバって持ってるわよね〜」だって。おいっ!(笑い)
その甘酒作りの話はさておいて。私は何かにつけて“凝り性”で、いったん何かにのめり込むと、必ずそれにしばらく振り回される。ギャンブルという沼にずぶずぶと20年間も沈んだのも凝り性のせい(?)だけど、実はほかにもいろいろとやらかしている。
ギャンブル熱が冷めて52才頃から始めた洋裁がそう。
「ほら、このワンピもブラウスも帽子もバッグも、私が全部作ったのよ」と自慢しているうちはよかったの。それがあるとき、ミシンによって縫い目の美しさが天と地ほど異なることに気づいた私は、プロが使う職業用ミシンがどうしても欲しくなった。で、それを中古で買った。すると次は、さらに高性能の定価34万円のミシンに目を奪われた。正価だと手が出ないけど、ヤフオク(Yahoo!オークション)なら1万円以下で出品されていることに気づいた私は、いろんな機種を2台、3台と買い集めた。そして次はスイス製にも手を出して……気づけば、わが家にはミシンが7台!
それだけじゃない。ミシンに見合う布を集めようと思い立った。それも国産の布に飽き足らず、世界中の布地を集めようと海外遠征も始めた。手元のお金をかき集めて、パリ・ロンドン・フィレンツェ・上海・台北……。貯金なんかできっこないって。
でもまぁ、そんなバカをするにも年齢制限があってね。体力も気力も資力もなくなった昨今は、電子レンジでのプリン作りに精を出した。その前は、ホームベーカリーで連日連夜、食パンを焼いたりもした。
なんでもそうだけど、酔狂はそれを支える人が必ずいるんだよね。
お隣に住んでいた4才年下のNさんは、私が何か「もらってくれる?」と言うと、「ありがたく!」と二つ返事で受け取ってくれたの。そのNさんが昨年秋に母親の介護で引っ越してしまい、そうなるとひとり暮らしの私は空気が抜けた風船みたい。そんなときに現れたのが、甘酒だったのよ。
きっかけは、わが地元・茨城の小さな物産店で、冷凍された甘酒のペットボトルを買ったこと。それをひと口、ぐびりと飲んでみたら、まぁ、いままで体験したことのないさわやかな甘さなんだよね。