現在も2か月に1度ライブで漫才を披露する
石破茂氏と本気で討論
──ここ10数年でワイドショーの番組数が増加している中で、タレントが政治を語ることに対して否定的な風潮もあります。
太田:でも、日本よりアメリカのほうが厳しいんじゃないかな。カントリー育ちの女性歌手の……なんだっけ?
田中:テイラー・スウィフト。
太田:そう。彼女がトランプに反対の意思表示をしたら、大非難を受けた。でも批判したくなる人の気持ちはわかるんです。芸能は現実を忘れたくて見るものでもあるし。
──太田さんは2006年からは『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』(日本テレビ系)を皮切りに、漫才ではなく純粋に時事に触れる機会が増えました。
太田:『太田総理』もそうだし、『スタ☆メン』(フジテレビ系)でコメンテーターの仕事で語らざるを得なくなった時は相当迷いましたよ。
田中:僕は何にも考えずに太田の話を聞いていましたけどね(笑)。
太田:お笑いとしてのかっこよさというのは、タモリさんのように泥臭いことを言わないスマートさもひとつだし、逆に(ビート)たけしさんのように政治にでも何でも物申すのもそのひとつ。一方で、(明石家)さんまさんは一切そういう発言はしない。どのあり方もかっこいいし、好きなんですよ。俺は果たしてどっちに行くべきか考えたけど、覚悟を決めるしかなかったね。『太田総理』で石破茂さんと本気で討論している時に「俺は何やってるんだろう」ってどっかで思っていたけどね(笑)。
田中:僕もそういうのがかっこ悪いと思う部分もあるし、どっちがやりやすいかって言ったら、太田が暴走してボケている時のほうですよ。真面目に話している時はツッコむこともできずに相槌を打っているだけだから。でも彼がそう決めてやっていることに反対するとかは当然ない。
【プロフィール】
てれびのスキマ/1978年生まれ。ライター。テレビ番組に関する取材を行なう。戸部田誠の名義での著書に『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『タモリ学』(イースト・プレス)、『芸能界誕生』(新潮新書)など。
※週刊ポスト2024年4月26日号