これは「制作サイドは広瀬さんが高校生を演じることに自信を持っている」ということ。同作の狩野雄太プロデューサーは広瀬さんが鬼嫁と独身OLに加えて天真爛漫な高校生も演じた2021年放送の『知ってるワイフ』を手がけただけに不安はないのでしょう。
『Destiny』の石原さとみさんも、大学生時代に初めて友達ができたうれしさ、恋人が好きでのめり込んでしまう姿、さらにそれを失ってしまったショックの大きさなどをそつなく表現し、検事となった現在と演じ分けていました。他の俳優も含め、学生役に一定の計算が立つ人を見極めてオファーをしていることは間違いありません。
制作サイドの「いける」という計算は俳優だけではありません。
『366日』のチーフ演出・平川雄一朗さんは『白夜行』『JIN-仁-』『とんび』『義母と娘のブルース』(すべてTBS系)などを手がけた監督であり、いくつかの年代を描き分けることもお手の物。一方、『Destiny』のチーフ演出・新城毅彦さんも映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』『ひるなかの流星』『なのに、千輝くんが甘すぎる。』などで学生のラブストーリーを手がけてきたエキスパートであり、キラキラとした青春の日々を描くことに長けています。
また、『366日』は高校時代のシーンを茨城や千葉などで、『Destiny』は長野でロケをすることで、キャストを実年齢以上に若々しく見せていました。キャストの背景に、どこか懐かしい街並みや美しい自然を見せることで、それとなく学生時代であることを感じさせていたのです。
最後にあげておきたいのは、俳優と演じる役柄の年齢ギャップは話題性を狙っている点もあること。実際、両作とも第1話放送時はXのトレンドランキングをにぎわせていましたし、TVerでの配信再生や第2話以降の視聴率獲得につなげる上でPR戦略の1つなのです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。