歌手としての活躍はもちろん、作詞・作曲も多く手がけてきた

歌手としての活躍はもちろん、作詞・作曲も多く手がけてきた

歌うことが困難になっていた

 太田の乳がんは、「トリプルネガティブ」に分類されるものだった。乳腺外科『ベルーガクリニック』の院長・富永祐司氏が解説する。

「トリプルネガティブとは乳がん細胞のタイプの1つで、ほかの乳がんのタイプに比べて進行が早く、予後も悪いのが特徴です。また、最近は効果のある薬剤などが出てきましたが、以前はトリプルネガティブだとホルモン療法や分子標的薬の効果がなく、薬物療法は抗がん剤に限られていました」

 そのため、 強い副作用に悩まされても、太田は抗がん剤治療に頼るしかなかったのだ。長期間におよぶ抗がん剤治療を乗り越え、放射線治療を経て、2020年4月に治療がすべて終了。以降は経過観察となり、3か月に1度の検査を受け続けてきた。

「ストレスをためない生活を心がけて、犬の散歩がてらのウオーキングを日課にしていました。もちろん、歌手としての活動のために常にマスクをして喉を乾燥から守り、力強い歌声のため、腹筋も欠かさず続けていた」(前出・音楽関係者)

 病気をしたことで、それまで以上に生活に気を使った太田。そこには「トリプルネガティブ」の乳がんが持つ特性があった。

「トリプルネガティブは、乳がんの中では再発、転移のリスクが高いとされています。また、ほかのタイプは治療から5年目以降の再発が多いのに対し、トリプルネガティブは2〜5年以内の比較的早い時期に再発が起きやすいとされています」(前出・富永氏)

 太田の場合、 すでにがん判明から5年が経過。治療終了からも、間もなく5年目に入ろうとしていた。

「時間が経つにつれ、太田さんには『寛解』の光が見え始めていました。そこにきて、今回の体調不良ですからね……。3月頃からうまく呂律が回らず、歌うことが困難になっていたそうです。そのため、今回のコンサートへの出演は見送らざるを得なくなった。落胆は大きかったと思います。

 どれだけ気をつけても再発リスクはゼロにはならないし、年齢を重ねるうちに、がんとは異なる不調が見つかることもあるわけです。ある程度の覚悟というか、心構えはできていたと思います。だからこそ、再びの試練もまた乗り越えてくれるでしょう」(前出・音楽関係者)

 太田はもう一度、必ず力強い歌声で『木綿のハンカチーフ』を披露してくれるはずだ。

※女性セブン2024年5月9・16日号

日本レコード大賞新人賞受賞のデビュー曲『雨だれ』から連続10シングルで筒美の曲を歌った(写真/女性セブン)

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体調不良を明かしたXの投稿。(2024年3月30日)

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