S’UIMINでの脳波計測
ショートスリーパーはほぼ自称
不眠とはコインの裏と表の関係にある睡眠については、現時点で、どのぐらい分かってきているのか。
「睡眠は、『ししおどし』にたとえると分かりやすくなります。『ししおどし』の竹の筒に出入りする水が眠気とすると、筒は眠気を蓄積する計測器です。ある一定程度の水(=眠気)が溜まると、『ししおどし』がカタンと傾いて、水が流れ出す。竹の筒が上を向いて水が、15~16時間かけて、ちょろちょろと入っているのが覚醒の状態です。それが、眠気という水位が上がって、カタンと傾くと睡眠の状態となります。平均的な場合、眠気が7~8時間かけて流れ出ていきます。
ただし、眠気とはいったいなんなのか、どうやって眠気の量を測定するのか、その眠気がどうやって覚醒と睡眠に切り替わるのかについては、まだ2~3割しか分かっていません」
睡眠の重要性がこの数年で、日本で認識され始めたのは、「睡眠負債」(慢性的な睡眠不足の負債)が心身に悪影響をもたらすことが明らかになってきたからだ。
「睡眠負債が、どれだけ脳の機能を落とすかといえば、一晩徹夜するだけで、翌日のパフォーマンスはガタ落ちになります。血中アルコール濃度の0.1%と同程度で、酩酊状態。これでは仕事がはかどらない。
しかし、本当に怖いのは、日々の睡眠不足の積み重ねでも同じような結果をもたらすという点です。平均的な睡眠時間が7時間から8時間に収まるにもかかわらず、1日4時間の睡眠を4~5日続けたり、1日6時間の睡眠を10日続けたりすれば“完徹”と同等までパフォーマンスが落ちる。
だけれども、眠気に強い人だと、眠たいという自覚がありません。自覚がないので、能率が悪いまま仕事や生活をしていることにもなりかねないのです。こうしてウィークデーに溜まった睡眠負債は、週末の2日だけでは返済しきれません。すると、睡眠負債が残ったまま、翌週に持ち越すことになります」
しかし、世の中には、ショートスリーパーだから大丈夫だと主張する人も少なくない。